データドリブンプラニングの現状と未来像【テレビ広告ビジネスフォーラム2019】レポートvol.3
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データドリブンプラニングの現状と未来像【テレビ広告ビジネスフォーラム2019】レポートvol.3

編集部 2019/3/20 08:00

    2019年2月7日、東京国際フォーラムで開催された「テレビ広告ビジネスフォーラム2019」。この日午前中に行われた基礎講演に引き続き、午後からのメインプログラムをレポートする。

    博報堂DYメディアパートナーズ 取締役常務執行役員・日本広告業協会
    テレビ小委員会委員長 五十嵐 真人氏

    午後のプログラムは、博報堂DYメディアパートナーズ 取締役常務執行役員・日本広告業協会 テレビ小委員会委員長の五十嵐 真人氏による開会あいさつからスタートした。

    日本アドバタイザーズ協会 電波委員長・石川貴浩氏

    続いて、日本アドバタイザーズ協会 電波委員長・石川貴浩氏によるキーノート「テレビ広告に求めること」。同協会『電波委員会』が組織する課題別ワークグループの取り組みについて紹介した。

    テレビ広告に求めること

    本題『テレビ広告に求めること』は、広告主の立場からテレビ広告に対する要望・期待について。「投資と効果の可視化を経営層から求められている」と述べ、ターゲット層への明確なリーチ・コンバージョンの指標が広告出稿や媒体選択に関する意思決定を大きく左右する現状を説明。媒体側の理解と対応を呼びかけた。

    広告媒体としてのテレビの価値向上
    ライフスタイルの変化に合わせた視聴の変化

    ■データドリブンプラニングの現状と未来像

    午後最初の講演は『データドリブンプラニングの現状と未来像』。電通ソリューション開発センター・野田大樹氏が、視聴データやメディア接触データから逆算して効率的な広告配信を設計する「データドリブンプラニング」のトレンドを解説した。

    電通ソリューション開発センター 野田大樹氏

    ■「データは混ぜて使え」パネルデータと実数データ

    まず野田氏は、現在展開されている最新の視聴データソリューションについて解説。パネルデータ型、実数データ型ともに新規サービスが続々誕生し、活用できるデータの量が爆発的な勢いで広がっているとして「現在は『データドリブン(活用は)待ったなし』の状況にある」と、野田氏は呼びかけた。

    一方で、視聴データにおける「パネルデータか、実数データか」といった議論については「どちらか片方だけを活用するのではなく、双方のキャラクター(特性)を理解したうえで『混ぜて使う』ことが大事」(野田氏)とし、あくまで本質は「データから『接触の多様な側面』を導き出し、解釈・活用の器を広げることにある」(野田氏)と述べた。

    ■「具体的なターゲットのメディア接触を複数方面から可視化」SSPの事例/実数データの事例

    講演で野田氏は、さまざまな種類のマーケティングデータ分析によって最適な広告配信を設計するSSP(シングルソースパネル)の事例を紹介。代表例としてビデオリサーチの提供する「VR CUBIC」を挙げた。

    「VR CUBIC」活用事例①

    「VR CUBIC」は、機械式視聴率調査において取得したデータとログ取得によるインターネット接触のデータをベースにアンケート調査による視聴者プロフィールや行動・態度変容のデータを掛け合わせて可視化するプラットフォーム。番組単位・細かなプロフィール単位でターゲットにおけるブランド関与の度合いを比較分析することができる。

    VR CUBICの「ターゲットプロファイルシート」

    ターゲットにおける番組ごとの態度変容の違いを比較できる、VR CUBICの「ターゲットプロファイルシート」。同一ジャンル内でもっとも広告効果の高い媒体や番組が可視化される。さらに野田氏は事例として、電通の統合マーケティングプラットフォーム「STADIA」を紹介。複数媒体を通した詳細分析を行い、テレビやOOH(Out Of Home:屋外)広告に接触したターゲットに向け、WEBでの“追いかけ広告配信”を実現するという。

    STADIAによるオンオフ総合プランニングの特徴

    ■AI予測に「脳波測定」まで?! 驚きの視聴状況計測新技術+活用手法

    つづいて野田氏は、先端の技術を用いた新たな視聴ログ測定ソリューションの事例を紹介。従来の機械式計測にとどまらない新たな形のログデータが続々と生まれている現状を伝えた。

    ニューロサイエンス・バイタルデータ

    電通サイエンスジャムが手がけるソリューション「Neuro Marketing(脳科学マーケティング)」では携帯型の脳波センサーを使い、メディア接触中の感情の動きや興味関心・快不快といったバイタルデータのログを取得する。番組、CM接触と脳活動の関係性を分析し、より詳細な接触質と効果の分析にトライしている。従来の視聴ログとともに「感情ログ」を紐付けることで、「露出」のみにとどまらず、具体的なクリエイティブのPDCAに活用することも可能となる先進的試みだ。

    また、いま話題のAI・機械学習の技術を視聴ログ分析に活かし、「未来の需要を予想する」試みも行われている。電通が開発したテレビ視聴率予測システム「SHAREST」では、過去の視聴率や番組ジャンル、出演者情報、コンテンツ閲覧傾向などのデータに基づいたディープラーニング(コンピューターによる深層レベルの学習作業)による視聴率予測を実現した。

    ディープラーニングと画像認識

    2017年6月時点ではリアルタイム視聴率のみ予測可能だったが、サンプルとするデータの蓄積と改良にともない、2018年6月時点でP+C7(番組とCMの過去7日間タイムシフト視聴率)の予測も可能になったという。これにより、ターゲット層の視聴が多く見込まれる番組枠への出稿を先んじて行うことができ、効果的な広告出稿を図ることができるようになる。

    2018年開発SHARESTバージョン

    ■「まだ取れていないデータ」をあぶり出し、「いまあるデータの位置づけ」を再定義する

    思わず目を奪われてしまうような先進的事例の数々が見受けられた講演であったが、同時に過度なデータ信奉へ走ってしまうことへの警鐘も付け加えられた。野田氏は「データに過度の期待を背負わせていないか、自省する観点も必要。既知のデータ、未知のデータの両方を念頭におきつつ、『いま手元にあるデータ』が分析においてどのような位置づけのものかを再確認・最定義することも重要である」と締めくくった。

    デジタルテレビのネット結線率向上、そしてマルチスクリーン視聴の浸透により、私たちが手にすることのできる視聴ログは爆発的な勢いで増加している。しかし目先の事例のみを追いかけるのではなく、冒頭のキーノートでも述べられた『ターゲットに向けての効率的な広告配信』という、マーケティングの大きな潮流の変化を念頭に置くことの重要さを強く印象づける講演となった。

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