【コンテンツマーケット最新情報】シンガポールATF2020完全オンラインで開催へ、ピッチ企画募集中
ジャーナリスト 長谷川朋子
毎年12月にシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズを会場に開催されるコンテンツマーケットAsia TV Forum & Market (ATF) も今年は完全オンライン形式で2020年12月1日~4日の日程で行われる。商談、会議、ネットワーキングなど国際コンテンツビジネス活動の場はデジタルプラットフォームの「ATF ONLINE+」上で提供されることになった。現在、ピッチ企画の募集を行っている。
カンヌ国際番組見本市MIPCOMに続き、シンガポールATFも今年は完全オンライン形式で開催することを9月21日に発表した。コロナ禍において世界的に渡航規制が行われていることが影響し、関係各所との話し合いの結果、オンラインのみへと転換する判断に至った。期間中、提供されるデジタルプラットフォーム「ATF ONLINE+」は従来のマーケット機能を踏襲しながら次の2つを柱に構成される。
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①マーケット/商談/ネットワーキング
・参加者名簿一覧
・ターゲット別のレコメンド機能
・コンテンツ別一覧
・マッチングサービス
・ビデオチャット付きの商談ツール
②バーチャル会議/ピッチング
・業界リーダーとの特別会議/ピッチング
・バイヤー向けランチタイム会議/ピッチング
・セラー向けコーヒータイム会議/ピッチング
またオンラインならではの試みとして、国際共同制作事業者、プロデューサー、コミッショナーがオンライン上で出会い、交流できる「Speed Dating(スピード・デート)」プログラムが提供される。セミナーやコンテンツライブラリー等は2021年2月28日まで利用可能となる予定。
ATF2020のテーマは「"Prelude to 2021: Be Part of the Conversation“(2021年へのプレリュード:会話に入ろう)」を掲げ、オンライン形式となった「ATF ONLINE+」においても業界が一堂に会して、2021年を見据えながら、困難な2020年を振り返ることを目的に交流の活性化を図る。
現在、ピッチセッションとプロジェクト企画の募集が以下の通り行われている。グローバル展開を見据えたアジア発企画をサポートすることを目的にしたもので、日本からも多くの企画参加が期待されている。

①「ATFアニメーションピッチ」:個人、学生、企業を対象に、キッズ向けアニメーション企画の募集(9月30日締切)。
②「ATFフォーマットピッチ」:クリエイターやプロデューサーを対象に、アジア発グローバルエンターテイメントフォーマットのアイデア企画の募集(9月30日締切)。
③「ATFチャイニーズピッチ」:中国市場向け劇場映画、オンライン映画、オンラインドラマ開発企画およびオリジナル脚本の募集。英語台本も可。(9月28日締切)。
④「SAFFプロジェクトマーケット」:アジアと欧州による国際的な共同製作プロジェクト企画を発表するサミット。最大15個のプロジェクトが紹介される。(9月30日締切)。
昨年は現地を取材し、制作力が高まるアジア発のドラマ、バラエティ、アニメの国際取引が会場で活発に行われていた様子を目の当たりにした。日本をはじめアジア各国のトッププレイヤーが会場に揃い、ハリウッドメジャーや欧州の大手スタジオ等も参加し、参加人数は世界60か国の地域からバイヤー、セラーを合わせて5713名(内バイヤー1046人)、出展社数は783社に上った。
なかでも世界第2位の市場規模に広がっているアジアの動画配信に話題が集中し、アジアの市場動向を分析したマーケティングセッションなども盛況だった。またキーノートに登壇したiQIYIはマレーシアのAstro Malaysia Holdingsと戦略的提携を結んだことを説明し、今年に入り、中国3大メジャー動画配信プレイヤーのテンセントが東南アジアの動画市場を席捲していたiFlixを買収するニュースが各誌で報じられるなど、市場再編の動きも引き続き注目される。