TBSテレビ開発のAI音声認識文字起こしツール「もじこ」が「日本DX大賞・優秀賞」受賞
編集部
TBSテレビが開発した文字起こしエディタ「もじこ」(以下、もじこ)が、日本DX大賞実行委員会主催の「日本DX大賞」で、大規模法人部門の「優秀賞」に選ばれた。

日本DX大賞は、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させるべく、民間企業や自治体、産官学や官民連携など、現場における優れた「DX推進の取り組み事例」を発掘し、広く共有する目的で今年新設されたもので、デジタル庁や総務省が後援し、142の事例が対象となった。デジタル技術を活用し、組織の変革・活性化、持続可能な経済社会の実現に向け、戦略性やビジョン、変革のための必要なリソース調達や社内マネジメント、環境・社会へのポジティブなインパクトや成果が審査された。

「もじこ」とは、TBSテレビが開発したAI音声認識技術を使った「文字起こしエディタ」サービスのこと。テレビ・ラジオ業界では日々、多くの「文字起こし」が行われているが、非常に手間のかかる作業であるため、番組制作の現場では大きな負担になっていた。そんな「文字起こし」作業を少しでも減らすために、TBSテレビでは「もじこ」の開発を行った。
開発にあたり、どんなに技術が進歩しても音声認識率が100%ではないことに着目。取材した音声・動画ファイルなどの素材を、IT各社の最新のAI音声認識エンジンを活用して、素材長の実時間がかかることなく自動でテキスト化された後、正しく認識されていない文章を人間が即座に「修正・編集」ができるよう開発された。もじこは、「SaaS※」=Software as a Service として提供している。
※「SaaS」とはクラウド上で提供されるソフトウェアのこと。インターネットを経由してアクセスできるので、ユーザー側にソフトウェアをインストールする必要がない。インターネット環境があればオフィスだけでなく、自宅や外出先からもアクセスが可能で、テレワーク、リモートワークなどでも活用できる。また機能のアップデートも随時自動で行われる。
■日本DX大賞実行委員会から、もじこ受賞理由のコメント
・世界125以上の言語に対応し、「音声認識AI」と「人」のコラボにより働き方を大きく変えている。
・インストール不要のウェブアプリで、PCとIDがあれば世界中どこでも使える環境を構築。
・最新のAI音声認識技術を活用して、文字起こし作業を圧倒的に短縮し、グローバルに業務効率を向上させた「DX」による文字起こしの「新たなカタチ」。

もじこは、人力での文字起こしの労力を最小限に抑えるために開発されたエディタ。文字起こしの現場で発生する様々な課題に対応している。素材ファイルは素早くシステムに取り込まれ、AI音声認識エンジンによって文字起こしされる。
同時に、エディタでの人手による修正が可能で、長時間録音・録画されたファイルでも全てがテキスト化されるのを待つことなく、テキスト化が終わった場所から聞きたい場所だけを繰り返し再生して修正することができ、短時間かつ高精度な文字起こしを実現している。
また、番組制作の現場での利用を前提に、タイムコードとの連携・サムネイル画像の表示・話者の設定・メモの挿入などの機能も搭載しており、誰でも直感的に簡単に操作ができるのだ。
■もじこの受賞歴
・「経済産業大臣賞」/日本映画テレビ技術大賞 MPTE AWARDS 2020
・「IT賞」(マネジメント領域)Information Technology Awards 2020
・2019年日本民間放送連盟賞 技術部門「優秀賞」
・映像情報メディア学会 第47回(2019年度)技術振興賞「進歩開発賞」(現場運用部門)
・日本映画テレビ技術協会 MPTE AWARDS 2020 第73回(2019年度)「技術開発賞」
・特許 第6543755号
・商標登録 第6161014号