カープ女子も喜ぶ!?ローカル局パワーで広島テレビが躍進中
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カープ女子も喜ぶ!?ローカル局パワーで広島テレビが躍進中

編集部 2017/11/20 12:00

IoT(モノとインターネットがつながる)やロボット、人工知能(AI)を活用して、“つながる社会、共創する未来”をスローガンに掲げた『CEATEC JAPAN 2017』が、千葉・幕張メッセで開催された(2017年10月3日~6日)。連日、様々な講演が催された中でも、今回は5日に行われた『新たなトレンド創出は地方!ローカル局パワー「地方力」とは? ~短期間、少人数、少予算で仕掛けるソリューションビジネス~』をレポートする。

写真:藤村直己氏

登壇した広島テレビ放送株式会社・編成局コンテンツ本部イノベーション事業部長(当時)の藤村直己氏は、冒頭、「広島テレビでは、放送だけでなく、イベントやネット動画配信、新規ビジネスへの取組みも積極的に行っている」とし、「“オンリーワンコンテンツ”を制作・保有し、”地産全消”、すなわち広島から全国へ、そして全世界へ情報を発信する≪イノベーション企業≫を目指している」と伝えた。

ローカル局の強みを生かした事業

今年7月から9月にかけて広島テレビで放送されたショートアニメ『おしゃべり唐あげあげ太くん』は、東京の制作会社からの持ち込み企画だったが、その企画書に、これからの流行の発信源となるのは“ご当地”とあったことを受け、「広島東洋カープはじめ郷土グルメや世界遺産など、広島県という地方が持つ魅力が、改めて東京や関西圏からも注目されているのではないかと改めて感じた」と藤村氏。それが本講演のテーマでもある、『ローカル局パワー「地方力」を生かして全国へ情報発信!新たな地産全消モデルの実現』につながった。

地産全消とは、地元のものを全国で消費するという意味で、「ローカル局は県域でないと放送できないと思い込んでいたが、通信の発達も含めて全国に情報を発信する方法は色々と存在することが分かってきた。そうすることにより地元への観光客の増加にも貢献できる」とし、「昨今の課題でもある広告収入にかわる第2の収入源の確保、ならびにネット広告が増えたことによるテレビ広告の減少といった問題に立ち向かうためにも、収入を伴う新たなソリューションビジネスを仕掛ける必要があった」と述べた。

以前は県民にだけ向けた情報発信で、広告収入を得る構造だったが、地産全消モデルが実現することで、県民のみならず、日本全国、世界にも情報を発信していく中、従来の広告収入に加え、新規ソリューションビジネスによる収入の2方向からの収入が見込めるようになった。

実現に至るにあたり、同局では2008年にコンテンツ事業局を立ち上げ、「子育て応援モバイルサイト」や「きょうからあなたも!広テレ!県民記者」という、視聴者から動画を送ってもらいオンエアに繋げるシステムの運用、子育て関連商品・カープ商品を扱うECサイト運営といった、さまざまなコンテンツ制作や事業を展開。2015年からは編成局コンテンツビジネス部と命名が変わり、高画質バーチャル映像の全国販売や映像コンテンツの海外販売もスタートさせ、2016年に現在の編成局イノベーション事業部が設立された。(2017年11月16日から、コンテンツマルチユース推進部と事業部に移管)

藤村氏は、「2008年から行ってきたローカル局の強みを生かした事業展開から手応えを得、改めて地方力を実感しました。本当のローカル局の強みとは、局ブランドとしての信頼、全国に系列があること、番組制作のスキル、放送枠を持っていることである」と。それに加えて、「VR技術や海外でのローカルコンテンツの需要があること、本来はテレビ局の課題とされる通信の発達とスマホの普及といった脅威をチャンスと据えて組み合わせることによって、新たなビジネスチャンスがあった」と続けた。

実現のための具体的組織

その新規事業として導入された成功事例として、『スマホでエントリー 動画採用投稿システム』を紹介。これは先に伝えた、「きょうからあなたも!広テレ!県民記者」のスマホでの動画投稿システムを応用したβ版の製品で、2016年の広島テレビの新卒採用試験前にアイデアが出され、わずか2週間という短期間で制作、同局の採用試験で実用化された。この取り組みに対し藤村氏は、「顧客の問題を解決するのが新規事業の基本であり、今回のようなスピード感が新規事業には必要」とし、事実、同製品はその後、NNN系列へのセールスを経て、企業と協力して一般企業へのセールスも行っている。

今回の実用化の成功要因を、「自社でテストマーケティングできたこと」とし、ローカルテレビ局のテストマーケットの利点について、「一般的なテストマーケットとは異なり、テストといえど実情はテストではなく、広島テレビにとって一定の成果をもたらす事業として成立する。たとえテストの結果が悪く収益事業に成長しなくても、損はしないというロジックでテストマーケティングを行っていけば、社内理解を得ることができ新規事業が興せる」。また、この取り組みから、「ローカル局は、地域内で完結した広告媒体を持っており、優良なテストマーケットである」という考えに行き着いたという藤村氏は、「広告費用を低価格で抑えられることが、ローカル局のテストマーケティングにおける最大の利点である」と続けた。

テストマーケットの流れ

講演の後半では、地元ベンチャー企業との新たな取組みとして、4K・8Kを超えた超高精細VR事業が紹介された。藤村氏は、「地元の優良企業をどう発掘するかも新規事業の鍵となる」とし、「自社のリソースだけに頼らず、それぞれの強みを生かした協業と、役割分担をしっかりしながら共存することによって拡大が図れる」と。

地元ベンチャー企業×地方局

VR事業の代表例として、広島東洋カープのHPの制作をはじめ、厳島神社や病院、大学、テレビ局、ゴルフ場が紹介され、VR画像の中に音楽や映像を組み込んだり、インバウンド対策として6ヵ国語に対応したりと、それぞれの目的に合った表現がVR事業により実現でき、当初、予測していたよりも幅広い活用法があるという手ごたえを得た。

地元ベンチャー企業×地方局

最後に、VR事業の今後の展望として「全国に販売代理店を増やし、そのなかで製品の良さを知ってもらい、全国に我々のVR事業を知ってもらいたい」と語られ、本講演は幕を閉じた。

ローカル局は県域のみと決めつけず、ローカル局が持つ「地方力」によって、どのようなトレンドが全国、そして世界へと創出されていくのか、今後もその動向に期待が高まる。

いま、ローカルテレビ局が熱い! 広島テレビがつなぐ地方の絆

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