日本テレビHP、約7年ぶりの大幅リニューアルが進行中 担当者に聞く狙いと現状
編集部
日本テレビ公式ホームページのリニューアルプロジェクトが昨年11月にスタートとなった。その内容は、(1)トップページと番組のホームページ(順次)をモバイルファーストな新UIに切り替え、(2)番組内容の記事化と外部ニュースサイト・キュレーションアプリへの配信、この2点が大きな点となる。また局にまつわる様々な情報が集約され容易にアクセス可能な、日本テレビ公式アプリもローンチとなった。

順次リニューアル中の番組ホームページに関しては、現在、バラエティでは『しゃべくり007』『踊る!さんま御殿』『今夜くらべてみました』『行列のできる法律相談所』等、スポーツ中継では『Fun!BASEBALL!!』等、そしてドラマでは『崖っぷちホテル!』等がリニューアル対象となっている。バラエティ番組は出演ゲストのトークから「特に面白い」箇所をピックアップしたWebメディアによるニューステイストの記事、スポーツ中継は注目の選手・注目の試合等にフォーカスした記事、ドラマはキャストのインタビュー記事等が展開されている。このプロジェクトを担当している日本テレビ・インターネット事業局 高橋直樹氏への取材をもとに、その狙いを探る。
同局のホームページリニューアルは2010年以来7年ぶりとなる。「(当時リニューアルしたUIは)PC閲覧が前提になっていた」(高橋氏)中、近年PCよりスマホからのアクセスが上回っているという状況に対応すべく、今回のリニューアルをスタートさせたという。
■Webでの記事化を通して、テレビ離れしている層にもコンテンツを届けたい
今後数カ月をかけて各番組のホームページや、トップページ以外のページ(番組表ページなど)も段階的にリニューアルされる予定とのことだが、リニューアルの現状の手ごたえや、今後の課題や展開についてどのように捉えているのだろうか。

まず、リニューアルにあたり重視した点を伺うと、「拡散型」にすることという答えが返ってきた。高橋氏は「以前は、SNSシェアボタンは番組ごとのトップページに付いていましたが、今どきテレビ番組自体・トップページそのものをシェアしたりしませんよね。そこで、更新する情報を(外部メディアでも展開されているような、OAの内容をピックアップした)記事という単位にし、かつ個々の記事にシェアボタンを付けました。また外部のニュースサイト/キュレーションアプリにもフィードされるようにしました。ホームページから切り出しても単体でも成立する記事を目指しており、OA前の告知記事だけでなく、オチまでネタバレ有りの面白い部分だけを抜き出した記事もOA後に発信しています」とその狙いや展開を説明。
「テレビ離れには危機感を持っていますが、番組コンテンツの面白さへの自信はあります」(高橋氏)という前提のもと、記事化された情報やネタを拡散させることで、テレビを普段視聴しない層にも届け、結果、番組への関心を持ち視聴に繋げるという狙いがある。
■社内でも前向きな反応 Webに関する体制集約も視野に
リニューアルは「百数十ある個々の番組ホームページのリニューアルを、アクセス数の多いものから順次進めているところ」と、順次進めている段階。社内への認知も進んでいるようで「番組制作スタッフを含めた社内への説明会を行い、ウチの番組ホームページもリニューアルしてほしいという依頼が多く来ています。記事化・拡散化については番組プロデューサーらも興味を持ってくれて、どんどんチャレンジしたいと一様に前向きです」と高橋氏は語る。

現状の成果については「リニューアルした2017年11月以降のアクセス数は、UUで前年より増加しました。PVは減少していますが、スマホを意識して1ページでスクロールして見せるタイプが増えているのが原因なので気にしていません。もちろん、テレビ局のホームページへの集客は番組のコンテンツパワーによるものが大きいのですが、今回のリニューアルによるUI/UXの向上がUU増に少しでも寄与していれば幸いです」と捉えているという。
今後は「局内のWeb発信機能を一元化」の実現も高橋氏としては目指したいとのこと。「テレビ局は、テレビに映るコンテンツを作るプロの集団なのですが、良くも悪くも“テレビ脳”です。テレビ制作者は“1時間番組なら1時間”という時間軸に沿って構成するのは得意です。しかし、どんどんスクロールするSNSのタイムライン上で、1秒にも満たない時間で印象を与えて目に留まるタイトルを考え、記事にまとめることは不得手で、そういったことができる人材がまだまだ少ないのです。また、Web向けの情報を発信する仕事も、部署ごとに分散している現状もあります」と高橋氏。各部署や各番組からWeb向けに番組コンテンツを切り出したり再構成したりできるスキルを持ったスタッフを集めて、自局に関するWebでの発信について一元的に担うチームを構築し、社内体制面での整備も目指しているようだ。