視聴率見える化元年!マスとデジタルのマーケティングはどう変わっていくのか<Advertising Week Asiaレポート>
06JUN

視聴率見える化元年!マスとデジタルのマーケティングはどう変わっていくのか<Advertising Week Asiaレポート>

編集部 2018/6/6 09:20

2018年5月14日~17日に六本木の東京ミッドタウンにおいて、マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテインメントなどの幅広い業界がひとつとなり、未来のソリューションを共に探求する世界最大級のマーケティング&コミュニケーションイベント「Advertising Week Asia」が開催された。エージェンシー・ステージではマーケティングを中心としたセッションが開催されたが、本項では「視聴率見える化元年 マーケティングはどう変わる?」と題されたディスカッションをレポートする。

■デジタルの登場による消費者の購買行動の変化

本セッションのステージに登壇したのは、株式会社PTPの代表取締役社長・有吉昌康氏、株式会社デルフィスの常務執行役員・土橋代幸氏、そして進行役を務めるブルーカレント・ジャパン株式会社の代表取締役社長・本田哲也氏の3人。有吉氏はメディア・ソリューション提供、土橋氏は広告主、本田氏はPRと、それぞれの立場から意見が交わされたディスカッションとなった。

まず、土橋氏はテレビCMの出稿に関して説明責任がますます厳しく問われる時代になってきたことを示し、デジタルが普及し始めたことでカスタマージャーニーも大きく変化していることに言及した。

「スマートフォンが登場して消費者の購買行動が大きく変化しました。自動車の購入にあたって、実際に購入するまで2カ月くらい検討するというのは以前と同じですが、5年ほど前までは、購入を決めるまでに、7回程度は販売店に足を運ぶのが普通でした。でもそれがスマートフォンの普及と同時に、1回の訪問で購入を決める人が7割を超えたんです」

この現象は“急に起こったこと”だと土橋氏は続け、「決して消費者の行動が短絡的になったのではなくて、ホームページや比較サイトなどにバーチャルで訪問するんです。それも2カ月で70回とか毎日のように調べている」と現在の消費者の行動を説明した。

つまりは、数年前よりも格段に多くの人がホームページを見ているということになる。土橋氏は「オウンドメディアがものすごく強くなって、トヨタのホームページ会員は2,500万人、1カ月の訪問者が1,000万人以上ということを考えると、広告市場に対して力を持ってきたという感じがあります」と現状を語った。

■全国でテレビCMの効果測定が可能となる新サービス開始

そして話題は本日のディスカッションタイトルにも取り上げられている視聴率へと移る。本田氏は「最も重要なKPIのひとつである視聴率が、海外の人などから見ると使いづらいのではないかという話がありますが…」と前置きしたうえで、その状況に対するソリューションを提供している有吉氏に「Madison」というサービスについての説明を求めた。

有吉氏はサービスがスタートしたばかりのソリューションについて、次のように説明する。

「これまでの視聴率は、東京・名古屋・大阪、そして札幌と福岡というエリアでしか個別の広告の出稿データは取れず、例えば東京と地方の広告投下に対する消費行動の違いを判別する際、明確にしにくい部分もありました。しかし今年の3月29日に株式会社ビデオリサーチ様と一緒にプレス発表したように、『Madison』では日本全国においてテレビCM速報サービスを受けることが可能となります」

「Madison」とは、自社および他社の全国のCM出稿状況をリアルタイムに把握できるもので、エリア別にCMの効果測定が可能となるものだ。PTP社が従来から展開している映像検索システム「SPIDER」と連携して利用すれば、翌日には映像も併せて確認することができる。

加えて有吉氏は、キリン株式会社の最新導入事例を紹介。テレビCM投下量をエリアにより差をつけた場合の効果測定と、同ブランドのCMで、エリアによりCM素材を代えた場合の効果測定の例を挙げ、視聴率がより精緻かつスピーディーに可視化されることによって広告主がPDCAを回しやすくなり、競合他社の動向を知ることができ、デジタルのサイクルに合わせたKPI管理も可能となることを示した。

■視聴率の見える化は止まらず、健全な競争を促進する

以上のようなデジタルの普及による購入者の行動変化、またテレビの視聴率がより見える化されていくような状況について有吉氏は、「マスかデジタルか、ではなく、どちらも必要だということは共通認識としてあると思いますし、データドリブンマーケティングは一度始まってしまえば不可逆的です。見えない世界に戻ることはないので、広告主や広告会社がいろいろ分担しながら、各社健全な競争をしていく時代になるのではないでしょうか」と将来を見据える。

一方で土橋氏は、「データが精緻に出てくるならば、そのデータに対応して運用できるような体制を整えなければならないですね。視聴率の見える化は良いけれども、他の分野のデータとの相関性の検証なども併せて進めていくべきだ」と、まだ解決しなければならない課題があると示した。

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