「ハイコネ」を拡張した各局の最新技術が集結【Connected Media Tokyo 2019】
22JUL

「ハイコネ」を拡張した各局の最新技術が集結【Connected Media Tokyo 2019】

編集部 2019/7/22 07:00

2019年6月12日~14日、幕張メッセ(千葉県)においてデジタルメディアビジネスの総合イベント「Connected Media Tokyo 2019」が開催された。本項では、最新の放送サービスや技術的な取り組みを紹介する展示コーナー「Broad Cast Innovation」の各ブースを前後編に分けて紹介する。「Broad Cast Innovation」では、今回新たにテレビとスマホの連携による新しいサービスを楽しめるアプリ「※Hybridcast Connect(ハイコネ)」(※IPTVフォーラムの 「ハイブリッドキャスト運用規定」 に準拠したアプリケーション)関連の展示を主軸としたことから“ハイコネパビリオン”と命名し、各社、その取組みを展示した。前編となる今回は、スマホ起点でテレビを楽しむ放送各局の最新技術、ならびにサービスイメージをレポートしたい。

会場の様子

■スマホ起点でテレビを楽しむ放送各局の取組み

放送局や受信機メーカーを問わずサービスを利用できる共通コンパニオンアプリ「Hybridcast Connect (ハイコネ)」 は、放送・通信の連携によるテレビサービス “ハイブリッドキャスト”を楽しむためのアプリケーションだ。これまでは、テレビ番組に関連した詳しい情報をスマホで確認したり、クイズやプレゼントキャンペーンへの参加といった利用法が主だったが、さらなる開発・規格化が進み、スマホからテレビをONにして目的のチャンネルを映したり、同時配信されている4K動画の視聴にも対応できるようになった。以下が、各局の取組みとなる。

■TBS

TBSは、「ハイコネを用いたローカル局視点での4K動画配信」の検証実験を紹介。従来、ローカル局ではハイブリッドキャストの運用は困難とされてきたが、アプリ(ハイコネ)を搭載したスマホから、データ放送の機能を使わずに、直接ハイブリッドキャストを起動して4K配信動画へ誘導する方法を提案した。担当者によると、本サービスは今年度中にリリース予定で、「テレビ局のコンテンツを簡易に利用できるメリットは大きい」とコメントした。

TBSのハイコネを用いたローカル局視点での4K動画配信の概要図

■フジテレビ

フジテレビは、「日本版ブロードキャスト・インディペンデントアプリ」技術を紹介。現在のハイブリッドキャストアプリは、受信機メーカー共通で動作し、放送通信連携もできるが、放送エリアにしか提供できない。一方、テレビOSアプリは、地域によらず展開できるが、受信機ごとに採用技術が異なり、それぞれにアプリ開発が必要で、放送通信連携もできない。そこでハイコネを活用した日本版ブロードキャスト・インディペンデントアプリ技術を提案し、試験実装を展示した。この技術を用いれば、各地の放送局がハイブリッドキャストアプリを全国展開でき、放送遷移も可能になる。担当者は、「例えば弊社なら、現在のテレビ向けFOD(フジテレビオンデマンド)アプリを受信機メーカー共通で提供できるようになる。放送局共通アプリも実現でき、視聴者・テレビメーカー・放送局それぞれにメリットがある」と標準化提案に向けた手応えを感じていた。

フジテレビの日本版ブロードキャスト・インディペンデントアプリ概要

■朝日放送テレビ

朝日放送テレビは、「視聴データとハイブリッドキャストコネクトを活用した実証実験」を展示。インターネットとテレビをつなぐシステムとして、ハイコネアプリとの連携による放送レコメンド機能、災害情報の発信、SNSやアプリ、Webサービスからの放送リソース提供機能を作成し、技術実証実験を行なったものを紹介した。担当者は、「ネット世代にもテレビに接して欲しいという思いから考案した。SNSでは番組の公式アカウントがあるが、登録する人はテレビに興味がある人がほとんど。なので、視聴者自身に情報を発信・拡散してもらえば、これまであまりTVに興味のなかった人にも情報が届き、ワンクリックで視聴が可能になる」と実装に向け期待を寄せた。

朝日放送テレビの視聴データとハイコネのシステム概要図

■テレビ朝日

テレビ朝日は、「スマホファーストで楽しむ!テレ朝コンテンツ」を紹介。スマホから地上波、BS、CS、キャッチアップ、通販、番組PR、4K動画といった同局のさまざまなコンテンツ・サービスへのアクセスが、ワンタッチでスムーズになったことが展示された。担当者は、「スマホからテレビ操作をスムーズに行えるようになった。プッシュ通知で、テレビ視聴に誘導できる」とコメントした。

テレビ朝日の展示の様子

■日本テレビ

日本テレビは、「5G時代の簡単・低コストの映像制作システム“ブラウザキャスト”」を紹介。あらゆるPCやスマホで動くウェブブラウザ上で、字幕やテロップのスーパー、外部機器の制御を行い、映像制作ができるシステムを構築。特別なソフトや機器が不要で、OSやデバイスを選ばず、ウェブサイトから操作が可能。HTML/javascriptベースのため、SNS等のウェブサービスとの親和性も高く、ニーズに応じたカスタマイズもできる。利用シーンとして、ライブ配信番組向けの映像制作、構内・館内放送の映像制作、制作支援システム向けの映像制作が想定される。担当者は、「カメラとPCがあれば制作でき、小規模な配信に向いている」とコメントした。

【関連記事】番組制作に役立つ技術、新しいテレビの在り方を提案する『日テク2019』開催

日本テレビのウェブブラウザ上で動く簡易映像制作に必要な機材と概要

■NHK

NHKでは、個人の視聴ログなどから生活を便利にする「ライフログを活用した放送・ネットの新たなサービス連携」を紹介。昨今、世界的にも視聴ログを含むパーソナルデータの扱いに注目が集まっている。放送技術研究所では、TVとスマホを連携させることができるハイコネの機能を使って、視聴者自身が主体となって視聴ログを管理・活用する仕組みの研究に取り組んでいる。展示では、個人の視聴ログを有効活用した、視聴者の好みや生活行動にあわせた新しいサービス例を紹介した。担当者は、「テレビの前を離れても、視聴した番組の情報を有効に活用していただけるように、視聴ログを本人の意思で取得し、さまざまなサービスと連携させる点が重要であり新しいと思う」と説明した。

【関連記事】高精細VR・没入型・ARなど未来の映像体験が集結~NKH技研公開2019レポート

NHKの個人の視聴ログの有効活用化の概要図

■エム・データ

エム・データは、TV番組とTVCMの放送内容を独自にテキストデータベース化した「TVメタデータ」サービスについて展示。同社では、関東・中京・関西のテレビ局(地上波)を対象に専門スタッフが24時間365日TVをウォッチ。「いつ、どこで、なにが、どのように、どのくらい」放送されたかを記録し、TVCM出稿内容、TV番組放送内容、TV番組で紹介された商品やスポットといった情報を網羅し、テレビ局はじめ広告代理店、メーカー(広告主)、調査会社など業界ニーズに対応している。担当者は、「現在や過去のトレンドの把握や分析、また、自社・競合社・クライアントのTVでの放送量や放送傾向(ネガティブ、ポジティブ)の把握や分析、未来の予兆の分析も可能。今後は視聴データ連携による“タレントレイティング指標”や、クラウドキャスティングサービス連携によるキャスティング機能も追加予定」とした。

MDataの展示の様子

次回、後編では、ハイコネを活用した各社の最新技術、ならびにサービスイメージをレポートする。

PAGE TOP