世界中に井戸端会議を起こす!フジテレビ発の新メディア『フジテレビュー!!』〜スマートニュース×フジテレビ『マーケティング視点でメディアを考える』レポート(後半)
05NOV

世界中に井戸端会議を起こす!フジテレビ発の新メディア『フジテレビュー!!』〜スマートニュース×フジテレビ『マーケティング視点でメディアを考える』レポート(後半)

マーケティングライター 天谷窓大 2019/11/5 17:45

2019年10月1日、株式会社フジテレビジョンがスマートフォン・PC向けエンタメサイト『フジテレビュー!!』をオープン。同サイトでは「そのハナシには、つづきがある。」をキャッチコピーに、番組出演者への独自インタビューをはじめとした舞台裏コンテンツや「番組のメイクスタッフが教えるメイク術」など、制作現場ならではの臨場感とテレビ局ならではの取材ノウハウを駆使した記事を配信する。

写真(左)松浦茂樹氏、写真(右)清水俊宏氏

同サイトのオープンを記念し、10月1日、東京・渋谷のスマートニュース本社にてトークセッション「マーケティング視点でメディアを考える」が開催。スピーカーとして株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業室 副部長(兼ニュース総局・兼広報局)の清水俊宏氏、スマートニュース株式会社 マーケティングコンテンツ開発担当ディレクターの松浦茂樹氏が登壇し、顧客を起点としたメディア構築のありかたについて議論を交わした。

【関連記事】顧客起点なメディア作りの「鉄則」とは?〜スマートニュース×フジテレビ『マーケティング視点でメディアを考える』レポート(前半)

後編となる今回は、同セッションのうち、フジテレビの清水氏によるトーク部分を特集。『フジテレビュー!!』の具体的な戦略、そしてメディア立ち上げの経緯となった「テレビ局ならではのメディア運営の強み」について詳しく踏み込んでいく。

■「番組に出ない情報」を専門に配信するメディア

清水氏は同局政治部記者や報道番組プロデューサーなどを経て、コンテンツ事業室 副部長に就任。ニュース専門チャンネル「ホウドウキョク」をはじめ、取材情報のマルチユース化を掲げたWEBメディア「FNN.jpプライムオンライン」の立ち上げにも関わってきた。

【関連記事】立ち上げ2年目で早くも月間4000万~FNN.jpプライムオンラインの分散メディア戦略

『フジテレビュー!!』のコンセプトは「テレビのタイムテーブル上に流れない、番組として直接表に出ない情報を配信すること」という。その背景には、同氏が政治記者時代に経験したある“苦い思い出”があった。

清水氏「政治記者時代に本流以外の政党や政治家の取材を担当したが、どんなに時間をかけ、綿密に取材を重ねても『本流ではない』という理由でオンエアをカットされてしまう経験をした。ニュースの背景を伝えるためには、放送時間外にも情報を伝えられる場所が必要と感じた」

『フジテレビュー!!』がメインに扱うのは、同局が手掛ける番組・映画・イベントの制作現場を取材源とする「裏話」的なコンテンツや、出演者たちが現場で見せる本音を垣間見れるような記事。普段オンエアには登場することのない現場スタッフたちによる記事や、テレビという枠にとらわれない独自取材のエンターテイメントコンテンツを志向していくという。

■ターゲットは「好奇心旺盛な、毒舌パワフル女子」

『フジテレビュー!!』の立ち上げにあたり、清水氏らスタッフは顧客分析の前に
・ミッション(果たすべき使命)
・ビジョン(将来のありたい姿)
・バリュー(組織共通の価値観)
を徹底議論。以下のように定めた。

・ミッション(果たすべき使命)
「世界のあちらこちらで井戸端会議を起こすこと」

・ビジョン
「テレビ情報にこだわらず、ユーザーが『あれ見た?これ、知ってる?』と話題を盛り上げるメディアになる」

・バリュー(組織共通の価値観)
「テレビ局『発』のコンテンツの力を証明する」

これらを実現するため、清水氏らは「ペルソナ」と呼ばれる、想定されるユーザー像を設定。
「30〜40代の都内在住、子どもあり、働く女子。好奇心旺盛な毒舌パワフル女子」
と、年齢や性別などの属性にとどまらず、具体的な趣味や性格にいたるまで人物像を定めた。

清水氏「こうした(ペルソナ上の)人物が求める情報を、フジテレビのリソースを使ってどのように提供するか(という枠組みでコンテンツを検討した)」

■「テレビコンテンツ=マグロ。“刺身”だけが食べ方じゃない」

トークの中盤、清水氏がプロジェクターに映し出したのは「マグロの断面図」。意表を突くようなこの展開は、テレビコンテンツに対する同氏の“切り口”を提示するものだった。

清水氏「テレビ局は『マグロ』のようなものではないか、と考えている。いまや高級な寿司ネタとされる大トロの部分もかつては水揚げされた時点で捨てられていたが、食べられ方の変化によって大きな価値を持つようになった。

私たちテレビ局の人間は、『(番組を)そのまま刺身(=生)で食べてもらえばよい』という固定観念にとらわれ、本来大きな価値を持つ『大トロ』のコンテンツを捨てていたのではないか。

おいしいマグロのように、テレビコンテンツをおいしく食べてもらうための工夫をしているかを考えなければいけないのではないか」

清水氏はテレビ局がこれまで発信してきた番組コンテンツをマグロの赤身に例え、「赤身(=テレビ番組)だけにこだわらず、ユーザーが求める『知りたい』という欲求に答えるコンテンツづくり」を打ち出した。

具体的には「ドラマ出演中の女優が伝授するファッションコーデ」や「タレントがリレー形式で紹介する『本気の差し入れ』紹介」「番組ロケ地をモチーフとした旅行コンテンツ」など、これまでテレビ番組という形では表現しきれてこなかった、幅広い視野での「テレビ局発コンテンツ」を発信する方針だという。

清水氏「『単なるウェブメディアになってはダメ』が口癖。あくまでやりたいことは『世界中のあちこちで井戸端会議を起こすこと』。こんなことやってるよ、と話題の端にあがるレベルで話題を起こしていきたい」

■「速報が得意」「現場が中にある」テレビ局ならではの強みを活かす

トークの締めくくり、清水氏はテレビ局発のメディアとしての『フジテレビュー!!』が持つ強みについて言及した。

清水氏「番組素材を編集した動画コンテンツやテキスト記事、また実際の制作現場でのオフショットやインタビューといったコンテンツは(番組制作元である)フジテレビだからこそ可能という強みがある。自社が主催するイベントであれば、会場内でドローン撮影を行うことすら自在だ」

1年365日、生放送をふくめ緻密なタイムテーブルに沿って放送を送り出すテレビ局には、突発的なイベントや放送までに時間の少ない状況下でもすばやく要点を切り出し、編集できる専任のスタッフがいる点も大きなアドバンテージと言えるだろう。

清水氏「映画の完成披露試写会や芸能人の結婚会見など、テレビ局は速報性が強く求められるエンタメコンテンツの制作・発信がテレビ局はもともと得意。くわえて番組制作の現場が自分たちの中にあることを活かし、『プロデューサーと出演者による撮影秘話』といったインサイドな情報を同時に出すことも可能だ」

番組コンテンツという形にかぎらずトータルな枠組みで「テレビの現場」が持つ熱気や情報を徹底的に引き出すメディアとして大きな期待を抱かせる『フジテレビュー!!』。これまでテレビが培ってきた価値を新たな形で楽しめる取り組みに、これからも目が離せない。

PAGE TOP