「ネットが盛り上がれば何かが起こる?番組制作とSNS活用」INTER BEE CONNECTED 2019事前レポート
31OCT

「ネットが盛り上がれば何かが起こる?番組制作とSNS活用」INTER BEE CONNECTED 2019事前レポート

編集部 2019/10/31 17:30

2019年11月13日(水)〜15(金)の3日間幕張メッセで開催される『InterBEE 2019』。放送と通信の融合を提案し、新しいビジネスモデルを発信するINTER BEE CONNECTEDでは、毎年数多くの企画セッションが行われている。

今年も充実のラインナップで予定されているが、その中から2日目の14日(木)15時50分より、会場内の“展示ホール 7 CONNECTED内 オープンステージ”にて「ネットが盛り上がれば何かが起こる?番組制作とSNS活用」のセッションが開催。

同セッションには、現在のテレビ制作現場でSNSを自ら活用する制作者や、現場と連携しながらSNSを駆使する宣伝担当者が登場。日々の制作業務とSNS運用とのバランスの取り方や、番組におけるSNSの効果的な使い方にいたるまで、現場担当者ならではの目線で赤裸々なトークが繰り広げられる予定だ。

(左から川鍋昌彦氏、勝目卓氏、高明希氏、境治氏)

参加パネリストは日本テレビ放送網株式会社 情報・制作局 ドラマプロデューサーの高 明希氏と株式会社TBSテレビ 編成局宣伝部 宣伝プロデューサーの川鍋昌彦氏、日本放送協会(NHK)制作局 第3ユニット ライフ担当の勝目 卓氏の3名。モデレーターをメディアコンサルタントの境 治氏が務める。

本稿では、去る10月8日(火)に登壇者一同にて行われた事前打ち合わせの模様をレポート。実際の壇上さながらのリアルな話が飛び出した。

■前半トークは「作り手とSNSの関係性」

合計70分を予定する本イベントは、大きく2部構成に分けて進行する。前半部分では「作り手とSNSの関係性」として、アカウントの開設スタンスを含めた各局のSNS運用スタンスをはじめ、SNSの浸透によって生まれた制作現場のリアルな変化についても踏み込んでトークが繰り広げられる予定だ。

打合せでは、各局におけるSNSアカウントの運用スタンスから話題に。NHK勝目氏、日本テレビ 高氏がそれぞれの現場における現状を語った。

NHKの勝目氏は、同総合テレビの人気番組『みんなで筋肉体操』の番組ディレクターを務める傍ら、SNSを通じた同番組のPR戦略にも携わる。気になる運用形態だが、意外なことに「番組独自のアカウントは作らない」方針という。

勝目氏「NHKの宣伝を一手に担うNHK広報局(@NHK_PR)のTwitterアカウントを通じて番組宣伝を実施している。番組自体が毎回新規企画として立ち上げられるため(放送時期が不定期となり)番組独自のアカウントを作りにくいこともあるが、すでにNHK_PRのアカウント自体が213万人以上(2019年10月23日現在)ものフォロワーを抱えていることもあり、同アカウントを通じて宣伝を行うほうが効果的と考えた。具体的には告知のおおまかなテイストと文章、動画をNHK_PRの担当者に渡し、細かいことは『おまかせ』というスタンス。私たちが渡す文章をそのまま乗せてしまうとどうしても業務的な雰囲気が出てしまう。アカウントには人格があると考えているのでNHK_PRの担当者にしか出せないつぶやきのの雰囲気を大事にしてもらっている」

日本テレビの高氏は2018年10月期に放送された人気ドラマ『今日から俺は!!』のプロデューサーを務め、並行してTwitterやInstagram、YouTubeに向けたSNS戦略を一手に担当した。前出の勝目氏のケースとは対象的に、同番組では独自のTwitter、Instagramが開設され、放送期間中を中心に活発に運用し、今も映画に向けて続けている。

高氏「日本テレビの局としての公式SNSアカウントは(NHKとは対照的に)あまり人格を出さないスタンス。そのかわり、放送される番組の情報は確実に逃さず発信するという運用に特化しているイメージ」

SNSとひとくちに言っても、運用スタイルは局ごとにはっきりと違いが出ている点が印象的だ。さらに込み入ったリアルなトークを当日は期待したい。

■後半トークは「SNSで番組作りは変わった?」

後半部分では、世間の大きな注目を集めることの増えた「SNS運用」そのものが番組制作の現場に与えている影響についてトークが繰り広げられる予定だ。

NHKの勝目氏は『みんなで筋肉体操』のほか、平日朝のワイド番組『あさイチ』の制作にも携わっている。同番組では2016年より番組公式Instagram(@nhk_asaichi)の運用を行っており、2019年10月23日現在で約20万人のフォロワーを抱えている。これまで同Instagramの運用は「有志のスタッフによる運営」とされてきたが、アカウントの人気ぶりを受け「上層部がSNS運用を正式な業務として認めてくれた」(勝目氏)

勝目氏「現在、番組Instagramの運営のリーダーは、20代の女性スタッフ。もともとSNSに慣れ親しんでいる若手スタッフは投稿のクオリティも高く、十分業務として認められるレベルで運用できていた点が上層部には響いたのではないか」

同アカウントではInstagramの機能を利用してフォロワーへの「アンケート」を行い、その結果を実際の番組制作に反映しているという。

また制作現場では、プロデューサー・ディレクター陣が予想もしなかった動きが起きているのだそう。パネリスト三者は口を揃えて「SNSを意識する美術スタッフが増えている」と話す。

川鍋氏「上からの指示ではなく、SNS上で話題にされそうな“小ネタ”を自主的に仕込む美術スタッフが増えた。2019年7月期に放映したドラマ『ノーサイド・ゲーム』では、劇中に登場するグラウンドに以前放映されたドラマ『下町ロケット』に登場した企業の“広告パネル”が配置されていた。現場のカメラマンもそれに気づいてカメラワークを寄せたことで視聴者に伝わることとなり、画面越しに“小ネタ”を見つけた人がSNSで話題にするという流れができていた。これは前室(出演者やスタッフの待機場所)やサブ(副調整室)にいては気づかないこと。現場に行って初めて気づくことができた」

高氏「2017年1月期に放映したドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』では、その前シーズンにTBSで放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の劇中で話題となった『恋ダンス』を堤真一氏扮する主人公の左江内が踊るというネタがあった。そのシーンの片隅に『火曜日はハンバーグの日』というポスターが貼ってあるのだが、“ハ”と“グ”の字が不自然に大きく強調されていて、『火曜日はハグの日』と、『逃げるは…』を連想させる仕掛けになっていてSNSで話題となった。美術スタッフの細部へのこだわりが、視聴者の『思わずSNSでつぶやきたくなる心理』を刺激したのではないか、と感じ、仕掛けづくりを意識することが多くなった」

臨機応変な対応が求められるテレビ制作の現場において、こうした「遊び心」レベルでもSNSを意識する流れが生まれつつあるという。視聴者にとって「自分しか気づいていないのでは」と思わせるような些細なネタはつぶやきの大きなモチベーションとなるし、仕掛けを施した側も視聴者に見つけられてSNSで拡散されることに喜びを感じるという循環はとても楽しく健全であるように思える。

当日はこうした現場サイドのナマの声に加え、「SNS施策が実際の視聴率にどう影響しているのか」といったビジネスサイドの気になる疑問にも触れる予定という。

聴講の予約はInterBEE公式サイトより
https://reg.jesa.or.jp/?act=Conferences&func=Detailed&event_id=11&conference_id=1037

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