読売テレビ、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館の展示映像に報道アーカイブ映像が活用
編集部
読売テレビは、奈良県立橿原考古学研究所が、附属博物館での上映や、インターネット配信などに利用する「発掘記録映像」の制作を受注。その中に、報道局が保管してきた過去のニュース映像を多数、使用したことを発表した。

映像の対象となったのは4か所で、高松塚古墳(明日香村)、藤ノ木古墳(斑鳩町)、大和古墳群(天理市・桜井市)、飛鳥京跡苑池(明日香村)と、いずれも橿原考古学研究所が発掘調査を手がけ、その成果が全国的に注目された遺跡だ。
遺跡は通常、発掘調査の後で埋め戻してしまうため、現在の遺跡から、発掘当時の状況を伺い知ることは容易ではない。このため、読売テレビでは、局内に保管してきたニュース映像を活用することによって、貴重な埋蔵文化財がどのように発見され、保存されてきたかを伝えることができると考え、今回の取り組みに臨んだという。
コンテンツはそれぞれ10数分で、50年前、後に国宝となる「高松塚古墳壁画」が発見された時のカラーフィルムや、1980年代に考古学フィーバーを巻き起こした藤ノ木古墳の未盗掘石棺が見つかった調査の様子など、放送局ならではの貴重な映像をふんだんに盛り込む一方、現在の遺跡の様子や、出土品などは4Kカメラによる高精細映像を使用。さらに、英語・韓国語・中国語の字幕が入ったバージョンも制作された。VTRの詳細は下記の通り(各YouTube映像はダイジェスト版)。
■大和古墳群を掘る~前期古墳の実態解明を目指して~
33面もの三角縁神獣鏡が出土した黒塚古墳をはじめ、中山大塚古墳、下池山古墳、ホケノ山古墳と、4つの古墳の発掘調査時の様子を収録。古墳発生の謎に迫る調査が今によみがえる。
■藤ノ木古墳の発掘調査~未盗掘古墳の世界~
未盗掘古墳であることがわかった1985年の調査から、石棺の開棺まで、注目を集めた奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳。映像には、朱塗りの石棺が見つかった時の様子や多くの副葬品が眠る棺が開けられる瞬間が記録されている。
■高松塚古墳の50年
極彩色の壁画で知られる高松塚古墳。1972年の発掘調査からカビなど生物被害との戦い、石室解体とその後の12年間にわたる壁画修理など、古墳がたどった激動の半世紀を貴重な記録映像で振り返る。
■飛鳥京跡苑地の発掘~20年の調査成果~
飛鳥時代の宮殿に隣接する庭園の池「苑池」は規模も大きく、びっしりと石が敷き詰められていて、その迫力に驚かされる。中国や朝鮮半島にも、全く同じタイプの苑池は見つかっておらず、1300年前の日本の政治や文化を伺うことができるとともに、20年にわたる調査の全容をニュース映像で振り返ることによって、「発掘調査」の魅力に触れることもできる。