2022年9月度ギャラクシー賞月間賞、放送批評懇談会が発表!
編集部
放送批評懇談会がギャラクシー賞テレビ部門で、今月の月間賞を発表した。
ギャラクシー賞テレビ部門は、日常視聴に基づく「月間賞」と、各社からの応募作品を併せて審査の上、毎年の受賞作を決定している。2023年6月初旬開催予定の贈賞式で大賞をはじめとする各賞が決定、表彰される予定。
今年で60年の歴史を誇る「ギャラクシー賞」は、放送批評懇談会が日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ、ラジオの番組、関係者を顕彰するもの。
2022年9月度ギャラクシー賞月間賞
■金曜ドラマ『石子と羽男-そんなことで訴えます?-』
7月15日~9月16日放送 22:00~22:54 TBSテレビ TBSスパークル
毎話、現代社会をタイムリーに投影している案件のエピソードと、訴訟に関わる人それぞれの事情・心情も丁寧に描きこまれた秀作。石子(有村架純)と羽男(中村倫也)がバディとして回を追うごとに息が合ってくるが、あえてロマンスに発展させることなく、仕事仲間として信頼し合う関係で続いていく感じも“今”らしいドラマだった。
■NHKスペシャル『中国残留婦人たちの告白~二つの国家のはざまで~』
9月24日放送 22:00~22:50 日本放送協会
日中国交正常化から50年、中国残留孤児の人生は大きく報道されてきたが、10代半ばで大陸に渡った女性たちは残留孤児とは違う人生を歩んだ。1990年代から彼女たちの証言を記録してきた日本と中国の二人の人物の仕事が番組の骨格となっているが、新たにNHKの証言取材を加え、卒寿を越えた残留婦人たちの苦難の歳月が語られた。
■『笑わない数学』
7月13日~9月28日放送 23:00~23:30 日本放送協会
斬新な教養バラエティ番組として、高く評価したい。数学という取っつきにくいイメージの世界を真正面から取り上げ、門外漢の一般視聴者にも見応えのある内容に仕上げた。その意味で、パンサー・尾形貴弘の起用もよかった。数学者の苦闘の歴史もドラマチック。また、数学と実社会の関係も描かれ、多角的に楽しめた。
■夜ドラ『あなたのブツが、ここに』
8月22日~9月29日放送 22:45~23:00 日本放送協会 NHKエンタープライズ
テレビドラマは常に時代の今を映すものだといえるが、このドラマは日本の今の社会の日常を描いて、画面に生き生きとしたリアリティを溢れさせて見事だった。コロナ禍での現実の宅配便のシゴトの描写は特筆もので、マスク越しの演技も、時にマスクをずらして語るセリフのやり取りも、普通ではない「今」を感じさせて秀逸だった。
詳報は月刊誌「GALAC」2022年12月号に掲載予定。
■放送批評懇談会について
1963年の発足以来、評論家、ジャーナリスト、マスコミ研究者などを会員に、各種の活動を展開。「GALAC(ぎゃらく)」の編集・発行、優れた番組・CMを顕彰する「ギャラクシー賞」の選考・運営、メディア界の動きを解説するセミナーやシンポジウムの開催などを行なっている。
