メディア接触環境の変遷から読み解く「新時代のテレビドラマ」(中編)~FODにおけるキャッチアップ配信の現状とマネタイズ~
09JAN

メディア接触環境の変遷から読み解く「新時代のテレビドラマ」(中編)~FODにおけるキャッチアップ配信の現状とマネタイズ~

編集部 2018/1/9 10:00

 

「テレビドラマ」の今後のあり方について、生活者のメディア接触の移り変わりから検証するディスカッションを2017年12月末に開催。前編となる「メディア接触環境の変遷から読み解く“新時代のテレビドラマ”」では、視聴者がテレビから離れていったのではなく、視聴スタイルが変化したのではないか? というデータを元に、それぞれの視点から語らうディスカッションの模様をお送りした。

中編となる今回は、動画サービスの多様化をテーマに、キャッチアップ配信の現状やマネタイズなどに関して、「新時代のテレビドラマ」について考察する。

■モデレーター
藤田真文氏
法政大学社会学部教授

■パネリスト
藤原将史氏
株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ
メディア環境研究所 メディア生活研究グループ グループマネージャー
 
野村和生氏
株式会社フジテレビジョン
総合事業局 コンテンツ事業センター コンテンツ事業室コンテンツデザイン部 部長職

■テレビドラマのキャッチアップは放送後1~2時間後がピーク

藤田真文氏

モデレーターの藤田氏から、「どのタイミングで視聴者は見逃した番組をキャッチアップするのか」「そもそもキャッチアップとは何だろう」といった質問が投げかけられた。これに対し、野村氏より、FODで行われているキャッチアップ配信のデータが発表された。

それによると、キャッチアップ配信の現状として、FOD見逃し配信のクール別ドラマ総視聴数推移はアップダウンを見せながらも年々上昇傾向に。

中でも、2017年7月期の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』3rdシーズンのスタートにともない大きな伸びを見せたことがわかった。

野村氏によると、「3rdシーズンを見るために、1stシーズン、2ndシーズンを見る人が増えた」し、下記の1歳刻みの年齢別視聴データでは、20歳前後の女性に多く見られていることが判明した。

続いて、同番組3rdシーズンは、放送後どのタイミングでキャッチアップされているか調べたところ、放送後の24時間以内が一番視聴されているという結果に。

野村和生氏

ヒートマップによる曜日別・時間別の掛け合わせデータによると、「放送後すぐから23時~24時をピークに視聴されている」と野村氏から伝えられると、すかさず藤田氏から「ならばリアルタイムで見ればいいのではないか」と意見が飛ぶと、「翌日の話題についていくためにも、放送からできるだけ近い時間で見たいということ、時間帯から見ても、枕元視聴をしているのでは」という若者行動ならではの憶測が野村氏よりなされた。

また、3rdシーズンスタートにともない視聴数が増えたアーカイブでの1stシーズン、2ndシーズンの視聴動向はというと、視聴者が見たいときに見るという結果に。同じくヒートマップでの曜日別・時間別分析によると、アーカイブでは土日・深夜帯が視聴のピークであることがわかり、VODサービスと化していることがわかる。

以上のことから、野村氏はドラマ視聴について、下記のようにまとめた。

この結果に藤田氏は「ライフスタイルが変わり、かつてテレビの前にいたとされる19時~22時のゴールデンタイムが、現代では1~2時間ずれて深夜になっている」と。野村氏からは「それでも外出先など移動しながらテレビドラマを見る人は少なく、部屋で見ている人がほとんどである」とテレビドラマのプレミア感はもちろん、楽しみ方にも大きな変わりはないことが伝えられた。

■FODオリジナル番組制作と売上推移 

次に藤田氏より、FODのマネタイズについて尋ねられると、野村氏は「キャッチアップ配信ではCMを付けており、配信数、売上とともに伸びている」と回答。「『コード・ブルー』のような再生回数の多い作品がセールスになるのか?」という問いには、「突発的に再生回数が増える作品が出ても、FOD全体で平均してアクセスが取れるようにならないとマネタイズは難しい。それでも、FODからは様々なデータが取得できるため、それをどう活用していくか、新たな手法を考えたい」と続けて回答した。

また、FODではオリジナル番組を制作しており、2017年度は500時間の番組を制作中である。中でも、人気漫画を実写化したドラマは放送開始前からSNS上でも話題となり、アクセス数も好調だったという。

マネタイズで言うと、オリジナルドラマの制作においては、制作費の回収は目的としておらず、FODの入会起因、解約防止、ブランド価値の向上といったことを重点に置いているそう。それでも長い目で見れば、ストックコンテンツとなりうることや、他配信事業者へのライセンス、DVDやBDのパッケージ販売、海外番組販売といったマネタイズも視野に入れているとした。

とはいえ、FOD開始当初から見ると、コンテンツの充実にともないFOD全体の売上推移は右肩上がりであり、今後にも期待される。

前編ではメディア接触環境の変遷を、中編ではキャッチアップ配信の現状をお伝えしたところで、本ディスカッションのメインテーマでもある「新時代のテレビドラマ」とはどのようなあり方に変わるのか。後編にてお届けしたい。

メディア接触環境の変遷から読み解く「新時代のテレビドラマ」(前編)~テレビ離れではなく、視聴スタイルの変化~

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