「ターゲットメディア」としてのCS/BSペイテレビの可能性
編集部
株式会社ビデオリサーチにて、広告コミュニケーション業務の課題を解決するためのコミュニケーションセミナーが2017年12月8日に2部構成で開催。その内容を第1部と第2部に分けて紹介する。

第1部のテーマは、「データで見るCS/BSペイテレビの現状と広告活用」について。登壇したのは、株式会社ビデオリサーチ テレビ事業局 テレビ調査部 衛星メディアグループ課長・藤原賢史氏。
CS/BSペイテレビは、どのような人たちに見られていて、メディアとしてどのような立ち位置にいるのか。そのような疑問を紐解いていく。
■視聴可能者像は「健康や社会、海外への関心が高く、広告への意識も高い」
現在、CS/BSペイテレビは25.8%、13,814,077もの世帯に普及している(「衛星テレビ広告協議会」より発表)。
CS/BSペイテレビの視聴可能者像の調査データ(2017年4〜6月「ACR/ex」調べ)を見てみると、

非契約者と比べて視聴可能者の数字が特に高かった項目は、「興味のある商品の広告は見る」だった。このことから、視聴可能者は、広告への意識が高いことが伺える。また、ほかにも「テレビの海外報道に関心がある」「介護問題に強い関心がある」「健康に強い関心を持っている」などの項目もポイントが大きく上回っていた。このことから、視聴可能者は“健康に気遣い、社会や海外への関心が高く、広告への意識も高い”という特徴があることがわかる。
そんな視聴可能者を持つCS/BSペイテレビは、チャンネルバリエーションが豊富であることも特徴だ。どのチャンネルも専門性が高く、「ドキュメンタリー」「スポーツ」「映画」など、チャンネルごとに明確なターゲットが存在している。
また、藤原氏は視聴可能者のテレビCMへの接触態度として、「広告を見て何かしらの行動を起こしている」と発言。ビデオリサーチの調査によると、視聴可能者のテレビ接触分数は3:32で非契約者の2:33を上回っている。「テレビCMを見て行動を起こした」「興味のある商品の広告は見る」「家族や友人とTVCMを話題にする」と答えたのも、非契約者より視聴可能者が多かった。

事実、視聴可能者は非契約者と比べて、「実際にテレビCMを見て行動した」のが6.1ポイント、「検索や問い合わせをした」のが6.8ポイント、「SNSや身近な人と話題にした」のが3.0ポイント、「最終的に購入した」のが3.2ポイント多い。つまり、CS/BSペイテレビの視聴可能者は広告効果の高いターゲットといえるのだ。
■CS/BSペイテレビの「ターゲットメディア」としての可能性
衛星テレビ広告協議会が主催し、ビデオリサーチが調査を請け負っている機械式ペイテレビ接触率調査(通称「RVCS」)は、調査を行っているため、データからCS/BSペイテレビの広告のさまざまな特性が見える。例えば、「RVCS」では以下のような調査が可能だ。
・関心商品広告別のCS/BSペイテレビ平均接触率
・CS/BSペイテレビごとの接触率と推計接触数の使い分け
・チャンネルにおけるターゲット含有率の違い
・欲求商品ごとに含有率の高いチャンネルジャンルを把握
・関心商品広告ごとに含有率の高いチャンネルジャンルを把握
・関心商品広告ごとに接触率の高いジャンルを把握

これらの調査から、「訴求したい商品はどのチャンネルと相性がいいのか」というように、広告をチャンネルに落とし込めるようになる。
また、「RVCS」では対象の広告関心層が「何曜日の何時にCS/BSペイテレビに接触しているか」といったように、曜日・時間帯にまで落とし込んだ調査が可能だ。つまり、チャンネルだけではなく番組にまで落とし込めるということである。
さらに、CS/BSペイテレビ全体において、チャンネルごとに「どのような買い物意識を持ったターゲットが視聴しているか」も把握できる。

そのため、自社商品と相性がいいチャンネルジャンルや番組を分析することで、ターゲットメディアとしてCS/BSペイテレビを利用できるのだ。
■CS/BSペイテレビをどう広告に活用するか
現在、CS/BSペイテレビでは1社あたり4.3チャンネルに出稿している。業種別出向者数のトップは「食品」。そのほかには、化粧品・トイレタリー、趣味・スポーツ用品などが挙げられる。
■機械式ペイテレビ接触率調査の拡充
今後ビデオリサーチでは、さらに深く分析するために、「RVCS」の調査をグレードアップさせていくという。グレードアップのポイントは以下の3つ。
(1)調査地区を2地区から5地区に増やし、調査期間を年間12週から52週にする
(2)推計到達人数も表記する
(3)プロフィール調査(2017年実績:世帯215項目・個人1,370項目)を引き続き実施する

「CS/BSペイテレビは、いち早くマルチデバイス視聴に取り組んだメディア。そのため、今後はそのマルチデバイス対応、そしてタイムシフトやウェブとの関係、サンプルの課題などにも取り組んでいく」と藤原氏。そして最後に「CS/BSペイテレビのパワーを正確に表現してくために、私たちは調査を通してお手伝いしたい」と締めくくった。