世界で2式!水陸同時撮影特殊カメラ、3Dアバター自動生成ほか【テレビ朝日グループ内技術展ゴーテック2018】レポート(前編)
編集部
テレビ朝日のプレゼンルーム・アトリウムにて、2018年2月21日から「ゴーテック2018」が開催された。ゴーテックはテレビ朝日グループ各社・系列各局で開発・改善された最新のサービスや、国内外の先進技術をグループ・系列内向けに紹介する技術展示会だ。「コンテンツ制作」「インターネット」「イベント」「ITサービス」「先端技術」「未来体感コーナー」の6つのジャンルで構成されており、全40ブースが出展。今後実装が期待される最新技術を紹介している。
今回から、2階のミーティングコーナーやプレゼンルームだけでなく、1階アトリウムまで会場が拡大。1階はBS朝日でも2018年12月に放送が開始される「4K」などのコンテンツ制作関連、2階はその他の最先端の放送技術や、体験ブースが並んでいた。
そのなかでも、いくつかの展示についてレポートしていく。
■いよいよ放送開始!注力される「4K」の周知
今回の展示会で、特に力が入っていたのが、「4K」に関する展示だ。
現在のHD(2K)テレビで見ている映像は約207万画素。しかし、4Kで同じ画像を写した場合、解像度データが高解像度化されて約829万画素という高精細な画像に変換される。BS・110度CSで始まる新4K8K衛星放送がスタートするにあたって、現在よりもさらに臨場感あふれる映像が楽しめるようになるのだ。
しかし、現在市販されている4K対応テレビでは受信機能が搭載されていないため、「新4K8K衛星放送」を見ることができない。視聴するためには別途対応したチューナーなどを用意する必要がある。


高画質放送の成功のカギは、チューナーの普及にある。高画質放送時代の到来に向けて、テレビ業界内外への今以上の周知が重要といえるだろう。
■世界で2式のみ、水陸同時撮影特殊カメラ「マーメイドカム」
本展示会で最新技術として紹介されていたのが、水の上と水中を同時に撮影することができる「マーメイドカム」だ。
普通のカメラで水上から撮ると水中までは撮影できない。一方、水中カメラでは水中の映像にしか撮影できない。このジレンマを「マーメイドカム」は克服した。

水上とスイッチの2台の4Kカメラを連動し、リアルタイムで撮影した映像を合成。水上と水中の様子を一枚の映像として撮影する。被写体との距離に応じ水上と水中のズームカメラの向きなどを調整することで、水面の境目がない自然な合成映像を作り出すことができる。
この「マーメイドカム」は世界水泳ブダペスト2017に投入され、国際映像としても採用されたもので、世界でも2式しかない。民放では今回展示されていたものだけになる。テレビ朝日にとって重要なスポーツコンテンツである、水泳競技中継などでの活躍が期待されている。
このほか、ゴルフ中継などで活躍が期待される2K映像と4KのHDR映像の両立を目指すテストの報告も行われた。また、同時にリアルタイムスーパーのテストも実施している。サイマル製作について課題もあるが、着実にテストは前進しているようだ。


■IoT スポーツトラッキングでスポーツ観戦も変化
視聴者向けの新たなサービスのひとつが、最新IOT技術を利用したスポーツトラッキングシステムだ。
選手自身やたすきなどに小型のデバイスを装着することで、GPSから選手などの現在位置などの情報を取得し、スマホなどの端末でわかりやすく確認することができる。技術革新によって超小型のGPS端末が登場し、また電池サイズも小さくなったことで、選手への負担が大幅に軽減。IoT スポーツトラッキングシステムへの実用化に大きく近づいた。
また、位置やペースをリアルタイムに表示させて連携するシステムがすでに完成されている。これにより、応援している選手がテレビ画面に映らないときでも、今どこでどんなペースで動いているのかリアルタイムで把握可能である。

この分野で期待されているのが「LPWA(Low Power:省電力、Wide Area:広域エリア)」という無線通信技術の情報伝送システムだ。このシステムは省電力で、通信費も安価なだけでなく、携帯電話の電波が届かない場所でも使用可能という特徴を持つ。駅伝だけでなく、トライアスロンや自転車レース(ヒルクライム)などのスポーツへの応用も考えられている。
■動く3Dアバターを自動生成するANATOMe
未来体感コーナーでひときわ目立っていたのが、株式会社ワントゥーテンイマジン開発の「ANATOMe」。これは、専用スキャンブースで全身をスキャンすることで、自動で3Dアバターを作ることができるというものだ。

ブースに備え付けられている4台のカメラで全身を10秒ほどスキャンした後、4分ほどで3Dアバターが完成する。このアバターはアイデア次第で様々な活用をすることが出来る。

今回の展示ブースでは、この展示を体験したのであろう、テレビ朝日の役員と営業チームの皆さんの混合チームがダンスを踊るコンテンツが上映されていた。ダンシングアナトミーというこのコンテンツは、プロのダンサーのモーションを取り込んだ3Dアバターに合成できるというもの。老若男女関係なく、キレのあるダンスを踊る映像を作ることができる。
以上、テレビ制作をよりわかりやすく、より興味深くするアイデアに満ちたゴーテックの最新技術コーナーをお届けした。後編ではテレビ朝日の働き方改革に関連するコンテンツや、体験型コンテンツをピックアップして紹介していく。