“テレビ”を作る発想の変化と進化、固定概念を壊して見出す新たな可能性<シェイク!vol17>【後編】
16MAY

“テレビ”を作る発想の変化と進化、固定概念を壊して見出す新たな可能性<シェイク!vol17>【後編】

編集部 2018/5/16 09:33

4月20日に株式会社IPGの本社(東京都中央区築地)にて、業界関係者が集う「シェイク!Vol.17」が開催された。今回のテーマ「気になるコンテンツの見つけ方」で、その模様を前・後編で紹介。後編となる今回は、「番組制作の新たな可能性」という話題をピックアップしてお届けする。

※TOP写真
左:林雄司氏 中央:藤村忠寿氏 右:小国士朗氏

出演者は、『水曜どうでしょう』の生みの親でもある北海道テレビコンテンツ事業室 クリエイティブフェロー/エグゼクティブディレクターの藤村忠寿氏。『デイリーポータルZ』ウェブマスターのイッツ・コミュニケーションズ株式会社の林雄司氏。『注文をまちがえる料理店』発起人のNHK制作局 開発推進ディレクターの小国士朗氏の3名という顔ぶれで、チケットは即日完売。シェイク!史上最多の参加者が集い、抱腹絶倒のトークセッションとなった。

■『テレビクルー』を利用した新たな番組制作のカタチ

前編では「“水どう”藤村D、テレビは「PRに最適な拡声器!」<シェイク!vol17>」と題し、現代におけるテレビの役割や番組制作の現状と課題といった話題を取り上げ、最終的に小国氏が、そうしたテレビ制作現場の現状を「テレビの呪縛」と表現し会場の笑いを誘った。そうした中、林氏が普段一人で撮影を行うことがあると語り出し、「テレビ制作チームのみんなで一つの作品を作り上げようとする、そのチームワークに憧れる」という発言がなされるが、現場にはベテラン風を吹かせる人や従来のやり方を崩そうとすると困惑する人がいるといった話題に進展した。

そこで小国氏から、同社で2月より配信が開始された、動画作成アプリ『NHK テレビクルー』の紹介がなされた。これはNHKの番組スタッフから発信されるお題(ミッション)に合わせて、一般のユーザーが動画を撮ると、テレビの生放送番組やドラマ制作にも使用されるかもしれないという参加型カメラアプリ。日本中のスマホユーザーがカメラマンとなりテレビクルーの一員として番組コンテンツを一緒に制作できるという、これまでにない取組みだ。

小国氏によると、3月末~4月に「おはよう日本」というニュース番組で、「スマホ桜前線」という企画を実施したところ、あっという間に全国各地から1000近い桜の動画が集まったといい、「日本国内のスマホユーザー数を考えると、理屈上は5,000万台のカメラで番組が作れることになる。それを想像すると、ものすごく大きなスケール感がある」と。同局では今後も色々な番組で同アプリの動画を使用していく予定だと語った。

■テレビカメラでは撮れない自然体の姿に人は面白さを感じる!?

藤村氏は、上記のような新たな取り組みに対し、「先陣を切ってNHKがやってくれることで、ローカル局でも様々な応用ができる」と意見し、「(番組制作の)仕組みを変えて行くためには、今回のようなアプリを考える発想をテレビでも持つことではないか」と続けた。実際、藤村氏も『水曜どうでしょう』では家電で販売されていたカメラとマイクを使って、現場では専門のカメラマンではなく、ディレクターが収録していたわけだが、「それをやってしまうとテレビカメラマンがいらなくなる」という理由から、番組の前後はカメラマンの収録を行うよう指示があったという裏話が語られた。

小国氏も、同アプリの出現により、現場のざわつきは多少あるとしながらも、「プロではなく素人だから撮れるもの、あるいはスマホだから撮れる映像や空気感がある」と、テレビカメラとは違う利点を語り、同アプリの技法を利用した撮影方法で、卒業を迎える女子中学3年生の想いや日々を追うショートドラマ制作を行ったことが伝えられた。「友だちとの風景を撮ってもらったり、ある日のミッションではあなたの好きなもの、嫌いなものを撮ってもらったりと、ベースとなるプロットはあるけれど、ユーザーの自由演技もあるという5分くらいの作品は、等身大の彼女たちを映し出した感動ドラマに仕上がった」と、これまでにはない新たなドラマ制作の技法が伝えられた。

■テレビCMは尺ではなくコンテンツ!

そんなこんなであっと言う間に終了時間が訪れ、「今回のテーマであるコンテンツの話題に、実はそこまで触れていない」と気づいた3者から、最後に参加者からの質問に答えて、そこでテーマへの引き戻しとまとめに入ろうと提案があり、「なぜテレビCMの尺は決まっているのか。そのことについてどう思うのか」という問いに答えることに。

まず藤村氏からは、「確かに3秒アタックはあっても、15秒刻みでフォーマットは決まっているが、テレビ局も広告代理店もスポンサーも、単にその決まりを変更するのが面倒くさいだけだと思う」と持論。最終的には、「本気で商品を売りたいなら、尺を長くして訴求しなければ、どんどんインターネット広告にやられていく」と回答した。

続く林氏は、最近夫婦でハマっているパブリックアクセス番組の内容を伝え、そうした「ネットっぽい面白さ、ちょっと悪い面白さがテレビCMにもあるといい」と意見した。最後に小国氏は、自身が代理店に出向した経験もふまえて、「広告もテレビと似ている空気を感じた。広告のフォーマットやシステムも出来上がってしまっているし、そんな状況で、クライアントや自社内の偉い人への忖度があったらさらに悲惨で、肝心のコンテンツの話が最後にきてしまっているケースもあるのではないか」と、コンテンツ力が低下しているため、強烈な印象を残す番組やCMが少なく、効果も得られない悪循環の可能性を指摘し、「やっぱりテレビも広告もすべてコンテンツに力があるかないかでしか判断されない」と、1周、2周回ってみても「コンテンツが重要である」というまとめでシェイク!vol.17は幕を閉じた。

“水どう”藤村Dも登壇!テレビは「PRに最適な拡声器」<シェイク!>【前編】

尚、次回の「シェイク!」は、5月25日(金)に開催。伊藤隆行氏(テレビ東京 制作局 CP制作チームプロデューサー)、米光一成氏(ゲーム作家 / ライター / デジタルハリウッド大学客員教授)、佐藤ねじ氏(アートディレクター / プランナー)らが登壇する「どうしたら作れる、面白い企画」の第4弾が予定されている。

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