若者は本当にテレビを見ていないのか?〜大学生に生で聞くメディア生活【Inter BEE 2018 レポート】
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若者は本当にテレビを見ていないのか?〜大学生に生で聞くメディア生活【Inter BEE 2018 レポート】

編集部 2018/12/25 09:05

2018年11月14日~16日、幕張メッセ(千葉県)において“新たなメディアの可能性を世界に伝えよう”というコンセプトのもと、Inter BEE 2018が開催された。近未来のメディアコミュニケーションとエンターテインメントの総合イベントは、過去最多となる1,152の出展者と40,839名の登録来場者数を記録し、かつてない盛況となった。その中から、放送と通信の融合を展示とプレゼンテーションで提案する「INTER BEE CONNECTED」初日の締めくくりに行われた企画セッション「大学生に生で聞くメディア生活」をレポートする。

パネリストは産業能率大学経営学部マーケティング学科教授の小々馬 敦(こごま・あつし)氏(写真:右)と、産業能率大学経営学部小々馬ゼミのみなさん。モデレーターはメディアコンサルタントの境治氏(写真:左)が務めた。

「マーケティングで世界をハッピーに!」とスローガンに、企業との積極的な協働によるマーケティング・ブランディング研究を行う小々馬ゼミのみなさん。所属する学生は2年生と3年生が中心で、半分以上がメディア関連の職業を目指しているという。

いまどきの大学生は、テレビや動画メディアとどのような付き合い方をしているのか──気になる現状を、当事者目線で語ってもらった。

(モデレーター)
境治氏
メディアコンサルタント

(パネリスト)
小々馬 敦氏
産業能率大学経営学部マーケティング学科教授

産業能率大学経営学部小々馬ゼミのみなさん

■「同じドラマを一緒に見る」ことが家族との「接点」に

大学生として気になるのが「ドラマ」との付き合い方。主にどんな作品を、どんな形で楽しんでいるのか?

「よく見る作品は『下町ロケット』(TBS)。親が好きで、一緒に見ています。いまのところ会話が噛み合う唯一の接点でもあります。」(2年生・中島敦輝さん)

「『獣になれない私たち』(日本テレビ)。テレビを録画したものを朝に見ています。逆に、録画以外では見ることがないですね。学校から帰宅するころには放映時間が終わっていることが多いので……。番組の見方としては朝食のときや、大学へ行くまでの時間に録画しておいたものを見たり、夜、帰宅して夕食をとりながら両親と同じ番組を見るというのが多いです。」(2年生・能味勇仁さん)

自分の裁量で過ごす時間が増え、家族と過ごす時間が短くなりがちな大学生活。そんななか、同じテレビドラマを一緒に見ることで家族とのあいだに「共通の話題」をつくり、そこを接点として大切にする、という背景が浮かび上がった。

登壇したメンバーたちの視聴形態は「録画しておき、あとで見る」というスタイルがほとんど。

「放送時間までに帰宅できれば見る。間に合わなかったら視聴はあきらめて、番組の公式Instagramにアップされたハイライトシーンの動画を見てストーリーを想像したりする」(3年生・三浦涼美さん)という声もあった。

いっぽう、「コンビニで購入したテレビ雑誌を見ながら、あらかじめ録画予約を入れておく。録画しておけば見逃すことは絶対にないから、そもそも、“見逃し”配信という概念が自分に理解できない」(2年生・熊谷栞萌菜さん)という声も。夜家をあけることの多い大学生たちにとって、ドラマはリアルタイムで視聴するものではなく、録画という形で“確保”しておいたものを、自分の好きな時間帯に見るというスタイルが主流のようだ。

■意外と「早寝」な大学生。布団のなかでスマートフォンをいじる

宵っ張りなイメージの多い大学生だが、最近は事情が変わってきたようだ。メンバーも、だいたい日付をまたぐころには床についてしまうとか。

「寝るときはすぐ寝てしまう。寝るのは大事かなと思って。布団に入ってからスマートフォンをいじるときもありますが、それも30分くらい。寝る前に見ると寝付けなくなってしまいそうなので、布団に入ったらさわらないようにしています。」(能味さん)という声もあったが、だいたいのメンバーは、布団に入ったあとも1〜2時間程度スマートフォンで何かしらのコンテンツに触れているという。

「部屋の電気を消して、布団のなかでKindleなどを使って読書や調べ物をします」(2年生・田中佑季さん)

「ベッドに入ってからInstagramの“おすすめ“を眺めるのが好きです。でもそれで寝付けなくなっちゃって。結局実際に寝るのは午前2時くらいになってしまいます」(熊谷さん)

「午前0時くらいに寝て、そこから動画を見たりゲームをやったりして実際に寝付くのは午前2時くらい。『大阪チャンネル(吉本興業とNTTぷららが共同運営する、関西のお笑い番組に特化した動画配信サービス)』をよく見ています。このチャンネルを見るために大容量通信プランを契約しました。」(2年生・渡辺 萌さん)

床に入る時間こそ早いものの、そこはやはり大学生。就寝時間ぴったりに本当の意味で「寝る」人は少なく、床のなかでスマートフォンを使い、コンテンツを楽しむというスタイルが多いようだ。寝入るまでの1〜2時間が、彼らにとっての「もうひとつのプライムタイム」なのかもしれない。

データにより明らかになった若者のメディア接触の現状

■レンタルDVDは「親に借りてきてもらうもの」

スマートフォンの普及によってネット経由でのコンテンツ接触が増えてきた一方で、レンタルDVDなど従前からのメディアとの接し方とはどうなっているのだろうか。気になるところを聞いてみた。

「見逃した映画が気になって、その作品がAmazonPrimeになかったとき、親にレンタルDVDを借りてきてもらって見ます。親が韓流ドラマのDVDをよく借りに行くので、そのついでに借りてきてもらう感じ」(中島さん)

「見逃した映画がDVDレンタルを開始したとき、親に頼んで借りてきてもらいます。何枚か借りると安くなるので、前見られなかったドラマのDVDも一緒に借りてきてもらったり」(熊谷さん)

レンタルDVDをよく利用する親に乗っかるかたちで「借りてきてもらう」というレンタルDVD。前述のテレビドラマの視聴形態同様「あれば見る」というスタンスであり、自ら積極的に出向く傾向ではないようだ。

■「部屋」と結びつくテレビ

メディアへの接し方は変容しつつ、動画コンテンツそのものに接する頻度が減ったというわけではないようだ。むしろメンバーたちの話から浮かび上がってきたのは、テレビというメディアに対する「場のBGM」的なニーズだ。

「入浴中にスマートフォンなどで、以前視聴したアニメやドラマを見返しています。とくにお気に入りなのは、中高生時代に見たアニメ。これをBGMがわりにしてシャンプーするんです。新しい作品だと場面が想像できないので、ここでは見ない。すでに見たことのあるシーンの音声を聴いて思い出にふけりながら入浴します」(3年生・三浦涼美さん)

「家を出る前、母親がテレビで見ている番組をBGMにしながら支度をしています。メイクをしたり、髪をセットしたりしながら1〜2時間ほど。帰宅してリビングで洗濯物をたたみながら、そのとき流れている番組を見たり……。ひとつの番組をじっくり見るというよりは、そのとき流れているいろんな番組たちと、なんとなく流れるように接している感じです」(遠藤さん)

自分たちにとって興味のある番組は、録画やオンデマンドによって好きな時間にじっくりと、それ以外のものは普段はエアコンや照明のように「雰囲気」として“なんとなく”その場に流しておく── さまざまなスクリーンに囲まれた現代の大学生たちのライフスタイルからは、これからの時代における新たな視聴体験のヒントを得ることができそうだ。

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