在京民放5社、2月定例会見まとめ~1月クールから4月番組改編までを網羅~
編集部
在京民放5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)は、2月22日~28日にかけて2月定例会見を行った。時期的に新年度の前ということもあり、気になるのはやはり4月からの番組改編だ。そこで、同会見での各局による1月クール以降の動向を振り返りながら、4月の番組改編に着目してみた。
■日本テレビ
1月クール以降では、週間視聴率三冠王を34週連続で獲得して、民放の連続記録を26年ぶりに更新した日本テレビ。年度内の通算獲得回数も45回と歴代1位に並んだほか、月間三冠王の記録も39ヶ月連続にのばし、まさに“記録ずくめ”といえる会見内容だった。
だが、4月の番組改編に抜かりはない。3月まで土曜22時枠での放送だった『嵐にしやがれ』を1時間繰り上げて、19時の『天才!志村どうぶつえん』、20時の『世界一受けたい授業』と3本のバラエティ番組を並ばせる布陣で臨む。土曜ドラマの放送を1時間遅らせるのはもちろん、ほかのバラエティ番組の曜日変更にも踏み切る方針だ。これについて、同局は「特にドラマの放送時間を1時間ずらすことはかなり勇気が要ることであったが、22時からの土曜ドラマは今のターゲットだけでなく、さらに少し上にも広げて、大人にも喜んでいただけるようなエンターテインメントを目指したい」とコメントしている。
■テレビ朝日
1月クール以降のゴールデンとプライムは苦戦したが、『相棒season15』や『報道ステーション』などの帯は健闘していると会見したテレビ朝日。平日ベルト番組も好調だ。全日帯では『グッド!モーニング』の7時台が月間平均で番組最高タイを記録し、『羽鳥慎一モーニングショー』は月間平均で4カ月連続の民放トップを飾った。そのほか、『じゅん散歩』も横並びトップ、『スーパーJチャンネル』も本年度最高を記録している。
4月の番組改編では、土曜・日曜の21時から1時間放送のニュース情報番組を新設する。土曜はディーン・フジオカをメンバーに加える形で高島彩がメインキャスターを務める『サタデーステーション』、日曜には長野智子がメインキャスターの『サンデーステーション』というラインナップだ。一方、40年間続いた『土曜ワイド劇場』が終了して朝帯に移行すると同時に、中高齢の視聴者に向けたドラマ『やすらぎの郷』がスタート(平日昼帯)。脚本家・倉本聰から「シニア層向けのシルバータイムを作るべきでは」との提案があり、ドラマ枠の増設にいたったという。これに加え、「バラエティも爆発力をもってタイムテーブルを引っ張る番組を企画開発する」と述べており、「いずれもすぐには成功しないかもしれないが、強い信念をもって我慢強く制作に臨む」と語っている。
■TBS
1月クール以降は、帯番組『あさちゃん!』『ひるおび!』『ゴゴスマ』というニュース情報組が健闘したTBS。全日帯は前年同期に比べて数字がのびたと会見している。また、日曜ドラマ『A LIFE~愛しき人~』のヒットに目を細める一幕も。
4月の番組改編では、全日・ノンプライム帯の改革として夕方のニュース『Nスタ』(15時50分~)をリニューアルさせる方針だ。井上貴博アナをメインキャスターに置き、タレントのホラン千秋と国山ハセンアナを迎えてフレッシュなメンバーに一新させる。その『Nスタ』に約7年にわたり出演していた堀尾正明は、朝帯である『ビビット』のコメンテーターとして加わる。週末には『上田晋也のサタデージャーナル』(5時30分~)もスタート。専門家とともに日々のニュースの表裏に迫る内容だ。
■テレビ東京
アニメなどのライツ部門は堅調を維持するも、1月クール第7週までの視聴率は「ゴールデン6.6%(前年比-0.2p)、プライム6.2%(前年比-0.2p)、全日2.9%(前年と同じ)」だったテレビ東京。「木曜から日曜の週末にかけて落ち込む傾向が見られる」と分析したうえで、「週末ゴールデンの強化」を打ち出している。
4月の番組改編では、昨年の3月末まで1年以上続いたバラエティ番組『ポンコツ&さまぁ~ず』が、『超ポンコツ&さまぁ~ず』として前回同様の土曜18時枠で復活を果たす。土曜20時には、土曜深夜に放送されている『家、ついて行ってイイですか?』が進出するなど、早々に対応策を示す形となった。
■フジテレビ
1月クール以降については、「ドラマは視聴率以上に力作が揃っていると思うのだが、それが数字に表れてこない」と語るフジテレビは、ドラマ全体のブランディングや枠の特性を含めた、フジテレビとしての独自性を出していく方針を固めている。
そんなフジテレビの番組改編といえば、やはり4月に“月9”枠が放送開始30周年を迎えることだ。月9の新ドラマ『貴族探偵』(21時~)には、人気グループ・嵐の相葉雅紀を主演に抜擢。紅白司会を務めた好感度抜群の俳優を起用することで、月9ブランドの巻き返しを狙う。そのほか、桐谷美玲が主演の木曜ドラマ『人は見た目が100パーセント』(22時~)、観月ありさが主演の日曜ドラマ『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(21時~)もスタートする。「とにかく1本でもヒット番組を出したい」と会見しているだけに、4月ドラマのラインナップは注目だ。
各局ともに大幅な番組改編というのはなさそうだが、今回の会見では「ニュース情報番組の活躍」が目立った形といえるだろう。それだけに、平日昼帯に食い込んでくるテレビ朝日の新ドラマをはじめ、フジテレビによる月9枠のブランディング構想、テレビ東京の週末ゴールデンの強化対策といった「ドラマVSニュース情報系」の構図が、各局における4月以降の見どころになってくるはずだ。