AbemaTV、“亀田”企画でサーバーダウン 番組制作の実際と2年目の目標を語る
編集部
6月7日から9日、千葉・幕張メッセで開催されたデジタルメディアのイベント「Interop Tokyo」。国内外のマーケットの動向、グローバルな視点でビジネスを見られるヒントが詰まっているとあって、3日間で12万人を超える来場者数があった。最終日、講演「AbemaTV 一周年!番組制作の実際と展望」をおこなったのは、株式会社テレビ朝日・AbemaTV報道局クロスメディアセンター・編成制作局制作部プロデューサーの鎮目博道氏だ。
昨年4月11日、サイバーエージェントとテレビ朝日の出資により設立・開局したAbemaTVは、PC・スマートフォン向けのインターネットテレビ局。同局で8番組も担当している鎮目氏だが、1周年を迎えて、さまざまなことが見えてきたようだ。今年5月30日付けで、1,700万ダウンロードを突破。制作現場と番組内容の移り変わりを、5つの時期に分けて分析している。
第0期が開局前の準備期間(15年春~16年3月)を示し、1期が開局~7月、2期が11月までで、3期が17年3月まで。そして4期が現在までを指している。
準備期とはまさに、0からのシステム構築期にあたる。鎮目氏は、「テレ朝はスマホの画面を担当しました。スマホサイズを考えて、テロップは少なめ。今は画面下だけになりました。あと、新スタジオの設計と建設。六本木のテレ朝近くのけやき坂に、外から中で何をやっているのかがわかるようなスタジオを作りました」と振り返る。
1期は、「30チャンネルで1日24時間、365日を埋めるという制作スキームで、臨時ニュースが相次ぎ、500万ダウンロードを超えました。元プロ野球選手の清原和博容疑者の出所からずっと追ったり、熊本地震の緊急災害報道があったり。簡易中継機を使うことが多かったですね」(鎮目氏)。
2期では、ノリに乗っていたピコ太郎をキャンペーンボーイにして、CM展開をおこない、1,000万ダウンロードを超えた。しかし、根本的な企画の練り直しを迫られ、新番組の準備に入った。「新聞で派手な広告を打って、“全チャンネル制覇”を掲げたのが第3期です。女性向けコンテンツを強化し、アニメの“イッキ見”も評判になりました。将棋界から、藤井聡太くんが誕生したのはこのタイミングでした」(鎮目氏)。
歴史が動いたのは、開局1周年記念の目玉番組“亀田興毅に勝ったら1,000万円”。亀田は、ホストクラブの支配人をKO、ユーチューバーをTKO、高校教師をTKO、全身刺青の暴走族元総長と引き分けて、現役から離れていた身ながらも、ギリギリ勝ち越した。この模様は、開局史上最多の1,400万人が視聴して、サーバーダウンする異常事態に見舞われた。「サーバーが落ちたのは宣伝のためだろうといわれたんですが、滅相もない! 対応できなかったのは反省材料ですが、予想外の人に見ていただけた嬉しさもありました。ただ、亀田のような企画は、毎日あるわけではない。レギュラー番組を見ていただかないといけないので、そのバランスで苦戦し、試行錯誤しています」と、鎮目氏は現状を包み隠さず語る。
その一方で、明るいニュースは、サイバーエージェントの若いプロデューサーが急スピードで育っているところと。Ameba BLOGの元スタッフたちは、芸能プロダクションとのパイプが強固で、亀田というメガヒット企画も、実はサイバー側の若手スタッフの立案だったという。そんな若手スタッフの活躍にも期待しつつ、2年目に向けての目標を「地上波とは違う番組の制作能力で、レギュラー番組を強化する」と力強く明言していた。
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