AIを導入した働き方、8KヘッドセットによるVR体験ほか【テレビ朝日グループ内技術展ゴーテック2018】レポート(後編)
編集部
2月21日から開催されたテレビ朝日のグループ・系列内向け技術展「ゴーテック」では、これまでの展示会で発表されたコンテンツの先を行くテクノロジーが並んでいる。今回は前編に続き、ゴーテックの会場に並んだテレビ朝日の働き方改革についての展示やVR関連の展示についてご紹介する。
■RPAで働き方改革を実現
RPA(Robotic Process Automation)とは、今まで人の手で行われてきた一部の提携業務をソフトウェアロボットによって自動化するというものだ。これにより、創造性が必要な業務や、コミュニケーションをとらなければいけない業務など、「人間にしかできない仕事」に集中できるようになる。


このRPAを導入したのがテレビ朝日とテレビ朝日サービス(テレビ朝日のシステム運営を担っている)だ。厚生労務部では社員の代わりに「勤務入力ロボット勤(つとむ)くん」が活躍している。勤くんは社員の勤怠を定期的にチェックしており、入力が数日ないと「勤務入力してください」という旨のメールを送る。勤くんのほかにも、「テレ朝夏祭りサマカシロボット」「社内システムID更新ロボット」などのロボットが続々テレビ朝日に入社したとのことだ。
これまで人の手で行われていた業務がロボットの導入で自動化され、このほか高頻度のチェックや社員の意識改革など、AIによる業務の効率化(IPA インテリジェンス・プロセス・オートメーション)が進んでいる。さらに、AIによる業務の効率化(IPA インテリジェンス・プロセス・オートメーション)を目指して、RPA+OCR(文字認識)により、これまでの紙文書をストックして保管や保存してきた方法を止めようという「ペーパーストックレス」にも挑戦している。業務によっては人による作業が3分の1に削減されるなど、ロボット入社の効果はすでに表れはじめているようだ。
■感情分析AIの検証~映像から人の感情を読み解く~
人間の表情から感情を読み解く技術も、AIによって進化している。この技術を番組制作に活かそうという動きも出てきている。


ひとつは感情分析AIの活用だ。出演者の感情を分析することで、感情表現のスコアが高い人物(いいリアクションをする出演者など)をワイプで映す、「自動ワイプスイッチング」という技術が実現に向けて検討されている。
さらに、感情分析AIに音声分析技術を組み合わせることで、感情と連動したテロップを自動で表示できるようになる。これにより編集作業が軽減され、新しいワークフローが生まれることが期待されている。
■VRアトラクションマシンでアトラクション体験
100円玉やコインなどを投入する、オールインワンの課金型VRアトラクションマシンも展示された。この技術を導入すれば、周囲にスタッフがいなくても、遊戯施設やイベント会場などでVRアトラクションを無人で提供できる。オペレーション費用が不要となり、人件費などの大幅なコストダウンにつながる。
使用されるメガネ型ヘッドマウントディスプレイ(超小型HMD)は、小さく薄いため、メガネをかけるのと同じ要領で装着できる。そのため、スタッフのフォローも特に必要はない。髪型やメイクの乱れを心配することがないので、女性が気軽にVRを楽しむことができるのも利点だ。

■世界最新!8Kヘッドセットによる高精細VR体験
現在VR市場で最も注目を浴びているのが、VR用ヘッドセット「Pimax 8K」だ。ゴーテックでもPimax 8Kのプロトタイプ版をいち早く展示していた。
Pimax 8Kの特徴は、200度という人間の目とほぼ同じの広い視野角だ。これを利用して、本イベントでしか体験できない最新ハードウェアを、8K・VRコンテンツで実現させた。現時点での最高スペックの機材で構築されており、最新8K・VRヘッドセット、8K360°撮影カメラ、8K動画再生マシンなどが使用された。
本イベントで発表されたコンテンツは「圧倒的臨場感!8K360°アイドルライブ&ドローン空撮映像」。ゴーテックのために特別収録したアイドルのステージと楽屋の映像、江ノ島上空の映像を8K VRで体験できるというものだ。アイドルが自身の周囲をぐるりと囲む様子は壮観だ。

次世代技術や自社コンテンツの強化・開発の取り組みが並んだ会場では、黒柳徹子さんの等身大アンドロイド「totto(トット)」を始めとしたロボット系の展示も目を引いた。今回、ゴーテックに並んだのはテレビ朝日グループ・系列内向けの最新技術だが、これから今後行われるテレ朝夏祭りなどの場所で見たりすることもあるかもしれない。

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