第29回「JNN技術賞」決定!最優秀賞は2部門ともあいテレビが受賞
編集部
TBSテレビ・毎日放送ほかJNN加盟局全28社が毎年番組技術や技術開発を競う「JNN技術賞」。第29回JNN技術賞表彰委員会による審査が10月9日(木)に行われ、15点の受賞が決定した。
■技術・開発部門
▼最優秀賞
株式会社あいテレビ
報道革命~AIを最強のデジタルデスクに~
評:FAXやメールの自動解析・チャットや音声での通知、原稿生成・校閲といった一連のワークフローを、AIで一元的に自動化するトータルシステムを開発した。報道現場のアナログ業務に着目しDXすることで、若手記者の育成を支援するとともに、デスクの校正・校閲作業にも活用されるなど、報道現場全体の生産性向上に貢献したことが評価された。
▼入賞
RSK山陽放送株式会社
AppSheetを活用した送信所管理ポータルアプリ「PoTaRa」の開発
評:AppSheetの活用により、送信所の場所、仕様、保守履歴といった情報を、マルチデバイスから確認できるアプリを開発した。熱中症対策としての出向時の報告・安否確認機能の実装や、AIによる保守履歴の検索・要約機能なども搭載し、過去のデータとも連携させることで、現場の業務効率を向上させたことが評価された。
▼入賞
株式会社CBC Dテック
JNNネットインカム(系列局への同報連絡)文字起こしシステムの開発
評:JNN系列局への同報連絡の音声を自動で文字起こしし、Google Chatで共有するシステムを開発した。これにより、これまでマスターなど特定な場所でしか聞けなかった系列局への同報連絡情報が、社内外を問わずどこからでもリアルタイムに文字情報として閲覧可能となり、報道特別番組など緊急時における情報共有の効率化に貢献したことが評価された。
▼敢闘賞
株式会社南日本放送
ここまでできた!Zabbixで変わる中継局監視の未来
評:ネットワーク監視ソフトウェアであるZabbixと汎用品を活用することで、FM中継局の監視システムを開発した。ベンターに依存せず、既存のシステムの使い勝手と遜色なく、初期費用とランニングコストを大幅に削減するとともに、Zabbixの新たな可能性を示したことが評価された。
▼チャレンジ賞
株式会社チューリップテレビ
生成AIによる選挙速報OCRシステム「票読みAI」の開発~手入力の煩わしさからの解放AIで乗り越えた試練~
評:開発期間が短く、選挙報道という間違いが許されないプレッシャーの中、内製で票読みシステムを構築するという「勇気ある挑戦」が、人間の間違いを減らすとともに、正確性も増すことに貢献したことが評価された。また、営放データチェックなどさまざまな分野への応用も期待できる。
■番組技術部門
▼最優秀賞
株式会社あいテレビ
[Live Node eXpression]:LNX(リンクス)(視聴者メッセージリアルタイムテロップシステム)
『わいワイ!Friday』
評:SNSの視聴者投稿を人手をかけてOAに露出させる方法はあるが、本案件は半自動で送出できるため時間切れ、作り損がないシステムだと言える。MC側にも送出の選択権があり、人手をかけず送出まで完結できるシステムで、ランニングコストに優れ、他局でも真似したくなる開発である。画像処理を用いて、TALLY情報を取得し、重複紹介を防ぐという発想は秀逸で、開発の完成度が高い。TouchDesignerの取り組みなど、同社の開発に対する社風を示していると感じる。
▼入賞
北陸放送株式会社
ないない尽くしで切り拓いた新境地!温故知新のリモートスイッチングシステム
『THE TIME,列島中継「日本唯一!車で走れる砂浜」』
評:テレビ社が保有しているワイド無線とDTMFというレガシーな技術を組み合わせて、4G網も安定しないエリアで中継を成立させていることが評価できる。この着想はITスキルを持つ若い技術者では到達しないのではないだろうか。使用しているカメラ台数も多く、セッティング、調整も大変だったと思うが、担当者の熱意が伝わる、まさに番組開発にふさわしい開発だと感じる。
▼入賞
株式会社CBCテレビ
「クラウドワークフロー」GNSS、PYTHON、スプレッドシート連携による駅伝リアルタイム位置情報CG送出システムの開発
『第64回中部・第54回北陸実業団駅伝』
評:GNSSの位置情報をユークリッド距離計算と組み合わせ、コース上の近似ポイントで距離を計測する手法が秀逸である。距離計をクラウド上に展開しており、オンブレミスよりランニングコストもかからない。折り返し、周回コースの対応も考えられており、配信でここまでのクオリティでCGを露出させていることが高く評価できる。開発者の実力とチームとしての働きが結実した開発に敬意を送りたい。
▼敢闘賞
株式会社毎日放送
世界一周の生中継とロケ旅『ご縁たび』
『よんチャンTV』
評:ドローンと海外ならではの画力が強い。優秀なコーディネーターとの人脈を含め、長年の豊富な知識と経験で培われた海外取材、中継だと評価できる。通関・SIM調達や現地の通信環境など綿密に調査し、スタッフの不安も情報共有でクリアにされている。事前準備と調査によって、大規模かつ長期にわたる海外プロジェクトを成功させており評価できる。
▼チャレンジ賞
株式会社三新
試合終了後もファンを魅了!プロ野球中継「ラ・テサイマル放送」への挑戦
『Bravo!ファイターズ「日本ハムvs阪神」』
評:野球中継の早終わりの課題を、ラテ県営局の力でサイマル放送という魅力のあるコンテンツ制作に落とし込んでいる。テレビ中心にならずに、ラジオMCの実力とアフタートーク演出が素晴らしく、多くを球場側で完結できていることも評価できる。回線数などファシリティも検討しつつ、実現されている点も好印象である。SNSのバズり、ファンエンゲージメント、ラジオへの視聴者の誘導、そして何よりレーティングの維持に貢献できており素晴らしい。
▼特別賞
株式会社毎日放送
同一チャンネルで全二重伝送を可能にするFPU高度化
(映像情報メディア学会技術振興賞 新歩開発賞(現場運用部門)受賞)
株式会社毎日放送
現場の“思いつき”を内製化 生放送中にクラウドから瞬時に映像活用 クラウドリプレイシステム
(民間放送連盟賞 技術 優秀賞 受賞)
株式会社TBSテレビ
日曜劇場『御上先生』
(日本映画テレビ技術協会 映像技術賞 照明 受賞)
株式会社TBSテレビ
日本劇場『海に眠るダイヤモンド』
(日本映画テレビ技術協会 映像技術賞 録音放送 受賞)
11月20日(木)のJNN技術賞表彰式において、各賞が表彰される。